2023年2月13日月曜日

神戸大学大学院法学研究科で私の指導を受けることを考えている皆様へ

 最近、神戸大学大学院法学研究科で私のもとで勉強したいという連絡を受けることがよくありますので、学生受け入れ方針及び指導方針について書いておきます。

 

まず、私自身は、租税法の授業を担当していますし、租税法に関する教材や教科書も執筆していますが、現在のところ、研究関心は公法一般にあります。また、神戸大学大学院法学研究科には租税法の授業を担当している専任教員は私しかおりませんが、関係する科目(憲法・行政法・国際法・国際経済法・民法・商法等)の教員は充実しています。 そこで、次のように申し上げたいと思います。


「租税法」の研究者志望の方

当研究科で租税法を教えている専任教員が私しかおらず、研究者志望の大学院生も現在いないため、可能であれば、私自身の出身大学院である東京大学大学院法学政治学研究科(増井良啓先生・神山弘行先生、さらに東大社研所属の藤谷武史先生の指導を受けられると思います)をお薦めします。後述の一橋大学も選択肢です。いずれにせよ、いきなり当研究科を受験されるのではなく、あらかじめご相談下さい。

 

租税法に限らず研究者を考えている神戸大学法学部生の方

どの科目の先生が指導が丁寧である、どの科目の先生が研究者養成を考えていらっしゃるといった点について多少の情報を持っています。他の科目を研究しながら「租税法も」勉強するということも考えられます。ご相談下さい。

 

税法科目免除を目指して修士号を取得したい方

そのような動機で前期課程の入学を考えておられる方は、申し訳ありませんが、お断りしています。経験上、税理士試験の準備や税理士事務所での勤務が忙しく、大学院の授業・論文に全力を尽くしていただけないことが多いからです。私もかかわっている名古屋経済大学大学院法学研究科等、そのような目的に特化して丁寧な指導を行う大学院をお薦めします。

 

研究者志望ではないが租税法で博士論文を書きたいという方

既に他の大学院で修士号を取得した方で今度は博士論文を書きたいという方からの問い合わせを頻繁に受けます。そのようなみなさんには、基本的には、まず当研究科の前期課程を受験されることを推奨しています。というのは、後期課程では講義科目が極端に少なく、論文執筆に必要な法学の知識を十分に得ることができません。他大学院(特に税法科目免除を目指した大学院)で勉強された方の多くは、法学全般に関する基礎的知識や英語力を欠いており、そのままでは博士論文の執筆に困難をきたします。前期課程から勉強し直すことが、かえって近道ですし、まずは優れた修士論文を執筆することを目標とすることが望ましいと考えます。もちろん、修士論文が優れていると評価される場合に限り、博士課程後期課程への進学の道が開けます(当然に後期課程まで進学できるわけではありません)。なお、私自身は前述のように公法全般を広く浅く研究している状況で、租税法の実務のテクニカルかつ最新の状況に精通しているわけではありません。実務的なことに関心がある方には、一橋大学大学院法学研究科の神田キャンパス(吉村政穂先生の指導を受けられます)の受験を薦めます。

 

社会に出る前にもう少し勉強したい・ミッドキャリアでの学び直しをしたい方

もし租税法に少しでも関心があれば、当研究科の前期課程(高度社会人養成プログラム)が適していると思います。租税法担当教員が私だけなので在外研究に出て指導できる人がいなくなるタイミングもありそうですので、事前にご相談下さい。もっとも、私が不得意な分野(例えば、消費税・税務会計等)を希望しておられる場合は他の大学院を薦めさせていただきます。

 

私の研究室では、原則として、修士論文・博士論文とも少なくとも部分的に外国法の研究(≒英語文献の利用)をすることを求めています。



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