2018年12月5日水曜日

渕圭吾・研究業績(2018年12月現在)


(近刊予定)







(2018年)

中里実・弘中聡浩・渕圭吾・伊藤剛志・吉村政穂編『租税法概説〔第3版〕』〔第8章第1-3節,第4節1,第5節1-3(273-310頁,351-353頁)を執筆〕(2018年12月,有斐閣)

「移転価格税制の法理上の基礎について:契約モデルから信認モデルへ」金子宏・中里実編『租税法と民法』311-29頁(2018年11月,有斐閣)

「コンフィデンシャリティは自由か特権か:租税情報の報道機関への開示をめぐるR (Ingenious Media plc) v Revenue and Customs Commissioners [2016] UKSC 54 の紹介」トラスト未来フォーラム研究叢書『金融取引と課税(5)』75-94頁(2018年8月)

「課税処分に対する理由附記・理由の提示をめぐるアメリカの議論状況 」論究ジュリスト26号91-97頁(2018年8月)

「納税者を守るための様々な方策とその限界―英国ヴィクトリア朝における納税者の権利保護に関する研究の紹介」租税研究822号5-20頁(2018年4月)


「法人税の課題と未来」法律時報90巻2号51-56頁(2018年2月)

「核燃料税に関する若干の考察」地方税69巻2号2-10頁(2018年2月)


(2017年)
「税法との関係における信託財産を構成する個々の財産の人的帰属」信託研究奨励金論集38号83-90頁(2017年11月)

「行動5:有害な税制への対抗」中里実ほか編著『BEPSとグローバル経済活動』140-161頁(2017年11月,有斐閣)

「アメリカ合衆国の土地利用法から学ぶこと」地方自治838号2-13頁(2017年9月)

「歴史的文脈の中の外国税額控除制度」金子宏監修『現代租税法講座第4巻』223-251頁(2017年8月,日本評論社)

「国際租税法の潮流」租税法研究45号67-82頁(2017年7月)


「藤枝純・角田伸広著『移転価格税制の実務詳解』」(書評)税務弘報65巻5号153頁(2017年5月)

「租税法律主義と『遡及立法』」フィナンシャル・レビュー129号93-121頁(2017年3月)

「憲法の財産権保障と租税の関係について」法学新報(中央大学)123巻11・12号17-36頁(2017年3月)

「非課税取引(2)医療・教育等」日税研論集70号(消費税の研究)319-353頁(2017年1月)


(2016年)
Unilateralism, Bilateralism, and Multilateralism in International Taxation, 59 Japanese Yearbook of International Law 216-228 (2016)

「学界回顧 租税法」法律時報88巻13号37-41頁(2016年12月)〔神山弘行・藤谷武史・吉村政穂と共著〕

「私の租税教育論(13)」税務弘報64巻10号80-83頁(2016年10月)


「日本の税制とタックス・ヘイブン」現代社会へのとびら2016年2学期号7-10頁(2016年9月)

「所得の人的帰属をめぐって」税経通信71巻10号158-163頁(2016年9月)

「地方税法11条の8にいう徴収不足要件の意義」(租税判例研究・最判平成 27 年11月6日民集69巻7号1796 頁)ジュリスト1497号131-134頁(2016年9月)

『所得課税の国際的側面』(2016年8月,有斐閣)


「企業と個別契約で税金を減免:タックスヘイブンの新事実」(気鋭の経済論点)日経ビジネス1855号98-99頁(2016年8月)

「『パナマ文書』に基づく課税処分及び脱税犯の訴追の可能性」ジュリスト1496号24-30頁(2016年8月)

「出国税以前」トラスト未来フォーラム研究叢書『金融取引と課税(4)』75-91頁(2016年7月,公益財団法人トラスト未来フォーラム)

「『みなし相続財産』と信託」トラスト未来フォーラム研究叢書『金融取引と課税(4)』61-73頁(2016年7月,公益財団法人トラスト未来フォーラム)


「租税法規の解釈:ホステス報酬に係る源泉徴収」(最判平成22年3月2日民集64巻2号420頁)租税判例百選〔第6版〕28-29頁(2016年6月)

「タックス・シェルター:パラツィーナ事件」(最判平成18年1月24日民集60巻1号252頁)租税判例百選〔第6版〕40-41頁(2016年6月)

「アメリカ合衆国の土地利用法(Land Use)(下)」神戸法学雑誌65巻4号173-296頁(2016年3月)

「アメリカ合衆国における地方自治体の解散とカウンティの役割について:ミシェル・ウィルド・アンダーソンによる研究の紹介」『21世紀地方自治制度についての調査研究会報告書(平成27年度)』75-88頁(2016年3月,一般財団法人自治総合センター)

「『働く意欲』と『税最大化』の矛盾を解決」(気鋭の経済論点:構成・広岡延隆)日経ビジネス1828号89頁(2016年2月)

「日本の納税者番号制度」日税研論集67号33-65頁(2016年1月)

(2015年)
「アメリカ合衆国の土地利用法(Land Use)(上)」神戸法学雑誌65巻3号81-172頁(2015年12月)

「学界回顧 租税法」法律時報87巻13号48-53頁(2015年12月)

「国際租税法におけるOECDの役割とその位置づけ」日本国際経済法学会年報24号15-36頁(2015年11月)

「財産権保障と租税立法に関する考察-アメリカ法を素材として」神戸法学雑誌65巻2号55-99頁(2015年9月)

「日産事件と子会社株式に関するキャピタル・ロス計上のタイミング」(東京高判平成26年6月12日)ジュリスト1483号31-36頁(2015年8月)

中里実・弘中聡浩・渕圭吾・伊藤剛志・吉村政穂編『租税法概説〔第2版〕』〔第8章第1-3節,第4節1,第5節1-3(265-310頁,343-345頁)を執筆〕(2015年4月,有斐閣)

「Steven L. Schwarcz, The Use and Abuse of Special-Purpose Entities in Public Finance」(学界展望・財政法)国家学会雑誌128巻3=4号410-412頁(2015年4月)

「未処理欠損金額の利用に関する法人税法132条の2の適用―ヤフー事件」(東京高判平成26年11月5日)ジュリスト1479号(平成26年度重要判例解説)217-218頁(2015年4月)

(2014年)
「学界回顧 租税法」法律時報86巻13 号48-53頁(2014年12月)

「Chevron Step Zeroとは何か」学習院大学法学会雑誌50巻1号173-182頁(2014年9月)

「所得の構成要素としての純資産増加」金子宏・中里実・マークラムザイヤー編『租税法と市場』92-108頁(2014年7月,有斐閣)

「租税法における生命保険契約の意義:一時払い養老保険・終身保険は相続税法3条1項1号にいう「生命保険契約」なのか?」金子宏・中里実・マークラムザイヤー編『租税法と市場』237-255頁(2014年7月,有斐閣)

「アメリカにおける政府私人間契約の解釈準則:United States v. Winstar Corp., 518 U.S. 839 (1996) の検討」トラスト60研究叢書『金融取引と課税(3)』69-93頁(2014年7月,公益財団法人トラスト60)

「アメリカ法における先例拘束性とChevron敬譲の優先劣後:United States v. Home Concrete & Supply, LLC, 566 U.S. __, 132 S. Ct. 1836 (2012) をめぐって」論究ジュリスト9号192-195頁(2014年5月)

「政策税制と憲法:ドイツ法を素材とした序論的考察」海外住宅・不動産税制研究会編著『欧米4か国における政策税制の研究』92-161頁(2014年3月,公益財団法人日本住宅総合センター)

(2013年)
「学界回顧 租税法」法律時報85巻13号47-53頁(2013年12月)

「タックス・ヘイブン対策税制と同族会社の留保金課税の共通性」中里実・太田洋・伊藤剛志・北村導人編著『タックス・ヘイブン対策税制のフロンティア』203-230頁(2013年10月,有斐閣)→『所得課税の国際的側面』

「贈与税の位置づけ」税研171号26-31頁(2013年9月)

「固定資産の価格を過大に決定されたことによって損害を被った納税者が地方税法432条1項本文に基づく審査の申出及び同法434条1項に基づく取消訴訟等の手続を経ていない場合における国家賠償請求の諾否」(最判平成22年6月3日民集64巻4号1010頁)(最高裁判所民事判例研究)法学協会雑誌130巻1号267-291頁(2013年1月)

(2012年)
「民事信託と課税」信託法研究37号73-81頁(+質疑応答)(2012年12月)=報告原稿の詳細版は学習院大学法学会雑誌48巻1号に掲載。

「恒久的施設と帰属所得主義の改正の動き」ジュリスト1447号27-32頁(2012年11月)

「民事信託をめぐる相続税・贈与税課税のタイミングと『受益者等』の範囲について」学習院大学法学会雑誌48巻1号37-55頁(2012年9月)

「民事信託と相続税・贈与税に関する研究ノート」トラスト60研究叢書『金融取引と課税(2)』35-57頁(2012年7月,公益財団法人トラスト60)

「Mayo Foundation for Medical Education and Research et al. v. United States, 131 S. Ct. 704 (2011) :内国歳入法典によって財務省に与えられた一般的な規則制定権に基づく財務省規則が示した制定法の解釈は,財務省以外の行政機関によるルールと同様に,Chevron敬譲の対象となる」(判例紹介)アメリカ法2011-2,582-587頁(2012年6月)

「金子宏先生に聞く 第3回 国際租税法・国際交流を中心に」(座談会)法律時報84巻6号54-65頁(2012年6月)〔金子宏・中里実・増井良啓と共に〕

「軽油引取税の納税義務者」(最判平成22年2月16日民集64巻2号349頁)(最高裁判所民事判例研究)法学協会雑誌129巻4号944-964頁(2012年4月)

「贈与税における『住所』の認定」(最判平成23年2月18日判時2111号3頁)ジュリスト1440号(平成23年度重要判例解説)215-216頁(2012年4月)

「リミテッド・パートナーシップの租税法上の『法人』該当性」(租税判例速報・名古屋地判平成23年12月14日)ジュリスト1439号8-9頁(2012年4月)

「破産管財人の源泉徴収義務」(最判平成23年1月14日民集65巻1号1頁)判例時報2136号170-177頁(判例評論637号24-31頁)(2012年3月)

「破産管財人の源泉徴収義務と源泉徴収税債権の優先順位:アメリカ法を素材とした一考察」法律時報84巻3号78-87頁(2012年3月)

Japan, in: Karen B. Brown (ed.), A Comparative Look at Corporate Tax Avoidance, 223-229 (2012年1月,Springer)=2011年7月のICCLP報告書に載せたものと同内容。

(2011年)
「納税者の租税法規上の地位の遡及的変更」(最判平成23年9月30日裁時1540号5頁)租税判例百選〔第5版〕10-11頁(2011年12月)

「法人税法22条2項にいう『取引』の意義:オウブンシャホールディング事件」(最判平成18年1月24日判時1923号20頁)租税判例百選〔第5版〕100-101頁(2011年12月)

「過納金の還付と相続税」(最判平成22年10月15日民集64巻7号1764頁)租税判例百選〔第5版〕182-183頁(2011年12月)

中里実・弘中聡浩・渕圭吾・伊藤剛志・吉村政穂編『租税法概説』〔第8章第1-3節,第4節1,第5節1-3(257-293頁,321-322頁)を執筆〕(2011年11月,有斐閣)

「Bruce Ackerman, Anne Alstott, and Philippe Van Parijs, Redesigning Distribution」(学界展望・財政法)国家学会雑誌124巻9=10号844-846頁(2011年10月)

「ヴェリタス事件米国租税裁判所判決」中里実・太田洋・弘中聡浩・宮塚久編著『移転価格税制のフロンティア』341-358頁(2011年7月,有斐閣)

Regulation of Corporate Tax Evasion in Japan, in: Japanese Reports for the 18th International Congress of Comparative Law, 334-340 (2011年7月,東京大学大学院法学政治学研究科附属ビジネスロー・比較法政研究センター比較法政部門(ICCLP))

「法人格内部の『取引』に関する一考察」ジュリスト1423号106-111頁(2011年6月)

「イリノイ州の資産税(property tax)」海外住宅・不動産税制研究会編著『主要先進国における住宅・不動産保有税制の研究』109-131頁(2011年6月,財団法人日本住宅総合センター)

「アメリカにおける地方自治体の課税権と資産税の位置づけ」海外住宅・不動産税制研究会編著『主要先進国における住宅・不動産保有税制の研究』56-70頁(2011年6月,財団法人日本住宅総合センター)

「贈与税における『住所』の意義とその認定」(租税判例速報・最判平成23年2月18日判時2111号3頁)ジュリスト1422号106-107頁(2011年5月)

「新株有利発行と受贈益課税」トラスト60研究叢書『金融取引と課税(1)』1-22頁(2011年4月,公益財団法人トラスト60)

「金子宏著『租税法理論の形成と解明(上・下)』」(書評)税務弘報59巻3号111頁(2011年3月)

「アメリカ連邦予算過程に関する法学研究の動向」フィナンシャル・レビュー103号174-186頁(2011年1月)

Seifu Kisei to Sofuto Rō (Soft Law on Regulation), Social Science Japan Journal (2011) 14 (1): 121-123. (書評)(2011年1月)

(2010年)
「取引・法人格・管轄権―所得課税の国際的側面(5・完)」法学協会雑誌127巻11号1862-1907頁(2010年11月)→『所得課税の国際的側面』

「適正所得算出説を読む」金子宏編『租税法の発展』209-228頁(2010年11月,有斐閣)

「相続税と所得税の関係―所得税法9条1項16号の意義をめぐって」ジュリスト1410号12-18頁(2010年11月)

「取引・法人格・管轄権―所得課税の国際的側面(4)」法学協会雑誌127巻10号1529-1601頁(2010年10月)→『所得課税の国際的側面』

「国際課税と通商・投資関係条約の接点(下)1920年代の国際連盟における議論を素材として」ジュリスト1408号164-171頁(2010年10月)→『所得課税の国際的側面』

「取引・法人格・管轄権―所得課税の国際的側面(3)」法学協会雑誌127巻9号1279-1360頁(2010年9月)→『所得課税の国際的側面』

「国際課税と通商・投資関係条約の接点(上)1920年代の国際連盟における議論を素材として」ジュリスト1406号149-156頁(2010年9月)→『所得課税の国際的側面』

「取引・法人格・管轄権―所得課税の国際的側面(2)」法学協会雑誌127巻8号1151-1210頁(2010年8月)→『所得課税の国際的側面』

「オーストラリアの相続・贈与税」海外住宅・不動産税制研究会編著『相続・贈与税制再編の新たな潮流』245-264頁(2010年6月,財団法人日本住宅総合センター)

「損害保険会社が海外子会社に支払った『再保険料』の損金該当性」(租税判例研究・東京地判平成20年11月27日判時2037号22頁)ジュリスト1400号173-175頁(2010年5月)

「Mihir A. Desai and Dhammika Dharmapala, Tax and Corporate Governance: An Economic Approach, in Wolfgang Schön (ed.), Tax and Corporate Governance」(学界展望・租税法)国家学会雑誌123巻3=4号410-413頁(2010年4月)

「平成22年度税制改正を読む」ジュリスト1397号21-27頁(2010年4月)

「『法実務教育』雑感」学習院法務研究1号38-42頁(2010年3月)

(2009年)
「レポ差額に係る源泉徴収義務:住友信託銀行レポ取引事件控訴審判決」(東京高判平成20年3月12日金判1290号32頁)税研148号27-29頁(2009年11月)

「所得課税における帰属(tax ownership)をめぐる研究動向」学習院大学法学会雑誌45巻1号173-204頁(2009年9月)

「アメリカの信託税制の諸問題」信託239号27-43頁(2009年8月)

「外国子会社合算税制の意義と機能」フィナンシャル・レビュー94号74-96頁(2009年5月)→『所得課税の国際的側面』

「アメリカ合衆国における不動産流通税」海外住宅・不動産税制研究会編著『欧米4か国における住宅・不動産関連流通税制の現状と評価』33-51頁(2009年5月,財団法人日本住宅総合センター)

「租税法と私法の関係」学習院大学法学会雑誌44巻2号13-48頁(2009年3月)→『所得課税の国際的側面』

「適用を年度開始時点まで遡らせる租税法規の合憲性」(福岡地判平成20年1月29日判時2003号43頁)法学教室342号別冊付録「判例セレクト2008」13頁 (2009年3月)=のちに法学教室編集室編『判例セレクト2001-2008』98頁(2010年12月,有斐閣)にも掲載。

(2008年)
「所得課税のアキレス腱」L&T41号168頁(2008年10月)

(2007年)
「所得課税における年度帰属の問題」金子宏編『租税法の基本問題』200-219頁(2007年11月,有斐閣)

「法人税の納税義務者」金子宏編『租税法の基本問題』418-436頁(2007年11月,有斐閣)

(2006年)

(2005年)
「組合員が組合から受ける給与―りんご生産組合事件」(最判平成13年7月13日判時1763号195頁)租税判例百選〔第4版〕64-65頁(2005年10月)

「納税告知取消訴訟において争いうる租税債務の範囲」(判例紹介・最判平成16年9月7日判時1874号52頁)民商法雑誌132巻6号934-939頁(2005年9月)

「アメリカ内国歳入法典469条のメカニズム」ジュリスト1290号123-130頁(2005年6月)

(2004年)
「オウブンシャホールディング事件に関する理論的問題」租税法研究32号27-52頁(2004年5月)

「取引・法人格・管轄権―所得課税の国際的側面(1)」法学協会雑誌121巻2号123-212頁(2004年2月) →『所得課税の国際的側面』

(2003年)
「租税立法に対する司法審査に関する覚書」日本エネルギー法研究所『法定外地方税を利用したエネルギー課税の諸問題―エネルギー税制をめぐる法的問題班中間報告書』47-67頁(2003年12月,日本エネルギー法研究所)

「法人税の納税義務者について―財産の独立性の観点から」日本エネルギー法研究所月報164号1-4頁(2003年10月)

「匿名組合契約と所得課税―なぜ日本の匿名組合契約は節税目的で用いられるのか?」ジュリスト1251号177-184頁(2003年9月)

「東京都銀行税訴訟をめぐって」法学教室273号41-47頁(2003年6月)

「アメリカにおける租税回避否認法理の意義と機能(1)」学習院大学法学会雑誌38巻2号91-130頁(2003年3月)

「租税特別措置法69条の4(小規模宅地等の特例)と選択権規定に関する宥恕規定の適用」(租税判例研究・東京地判平成14年7月11日訟務月報50巻7号2192頁)ジュリスト1241号116-119頁(2003年3月)

(2002年)
「東京都銀行税事件」(東京地判平成14年3月26日判時1787号42頁)税研106号219-221頁(2002年11月)

「小作地に対する宅地並み課税により固定資産税等の額が増加したことを理由として小作料の増額請求をすることの可否」(行政判例研究・最大判平成13年3月28日民集55巻2 号611頁)自治研究78巻10号130-148頁(2002年10月)

「中里実著『タックスシェルター』」(書評)税研105号75頁(2002年9月)

「Daniel Shaviro, Risk-Based Rules and the Taxation of Capital Income」(学界展望・租税法)国家学会雑誌115巻3=4号430-433頁(2002年4月)

(2001年)

(2000年)

(1999年)
「フィルムリースを用いた仮装行為と事実認定」(租税判例研究・大阪地判平成10年10月16日訟務月報45巻6号1153頁)ジュリスト1165号130-134頁(1999年10月)

(1998年)

2018年7月4日水曜日

2018LS租税法1第14回(7月3日)

§233.01費用収益対応の原則
佐藤「スタンダード」256ページ以下
§234
佐藤262ページ以下も合わせてみておく

§241.01
この事案についてはジュリストに書いた論文を参照。
「民泊」に伴い,この辺りは実務的にも重要になってきている。
6月に出た,国税庁
「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について(情報)」
をみてみよう。

2018年7月3日火曜日

2018LS租税法2第10回(7月2日)

かなり久しぶりの授業となった。
PL農場事件から,使途不明金・使途秘匿金,そして繰越欠損金に関する行田電線事件,をみた。

2018LS租税法R&W第9回(6月26日)

佐藤「スタンダード」を読み進めている。

2018LS租税法1第13回(6月26日)

前回,2017年度講義資料の必要経費のところを見た。
重要なのが,弁護士会の活動に関する支出が弁護士の事業所得にかかる必要経費に該当するかどうかが争われた事例。

§231.03
高松地判昭和48年6月28日

§232.01〜
年度帰属という一大論点

権利確定主義(あるいは,所得の年度帰属の一般的なルール)は,所得の種類を問わず妥当する(例外=67条)。

事業所得(不動産所得の一部,それから法人税)に適用されるルールとそれ以外(雑所得等)に適用されるルールが異なる,というのが出発点。必ず,自分の言葉で整理しておくこと。
具体的には,貸倒れが発生したの際の処理が異なる。47年判決と49年判決を対比せよ。


§232.02は金子先生と植松先生の論争を踏まえたもの。まずは,現実にどうなっているのか,ということを押さえておく。どちらの立場でも,実際にはあまり違いがない。

沖縄補償金事件。

§232.03の位置づけは難しい。
一般的には,権利確定主義に基づくより早い収入金額計上を基礎付けるものとして管理支配基準を位置づける。
しかし,本件では,紛争のために,本来の権利確定の年度において収入金額を計上することが事実上不可能。この点で,法人税の電気料金過大徴収の事案に似ている。そこで,本来の権利確定より遅いタイミングの中でどれを取るか,ということが問題となっている。相対的に早いタイミングを取るべし,というのが最高裁。その意味で,本来の意味での「管理支配基準」を採用したものとして,本判決を理解するべきではないのかもしれない。
事業規模ではなかった事例と思われる。

2018年6月26日火曜日

2018LS租税法R&W第8回(6月12日)

佐藤「スタンダード」

2018LS租税法1第12回(6月12日)

§225.02
最判平成27年6月12日
→匿名組合契約に関する課税関係を明確に示した。 ただし,課税のタイミングについてはよくわからないところがある。通達によれば,

「36・37共-21の2 36・37共-21により営業者が匿名組合員に分配する利益の額は、当該営業者の当該組合事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入する。」

となっているから,匿名組合員は,「共同事業」(判旨のイ)の場合でも,(現実の)分配ベースで課税を受けるということになりそうである。
 しかし,他方で,

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/060117/01.htm

に出てくる「問22」では,

「匿名組合契約の組合事業の損益計算上利益が生じた場合には,匿名組合員は利益配当請求権による利益の分配を請求することができるから,現実に利益の分配がなされておらず,それを留保することにした場合でも,「収入すべき金額」は確定しているものであり,当該金額が総収入金額に算入されることになる。」 

と説明されている。また,損失については(ケースブック331頁でも引用されている)問23で説明されている。

結局のところ,(1)基本的には事業からの収益・費用・損失は営業者に帰属するものの,(2)営業者がその帳簿上,当初の出資額よりも匿名組合員の持ち分が増加した,という処理を行う場合にはその時点で問22に従って即時に匿名組合員に課税が行われ,また,営業者はその分を必要経費に算入でき,(3)営業者から匿名組合員に対して現実の分配が行われる時点では,特に課税関係が生じない,ということになりそうである。しかし,この扱いは,(2)の段階での操作可能性が大きすぎて,妥当なルールとは言い難いようにも思える。 また,(2)で一旦匿名組合員に対して課税された分がその後の事業の失敗によって減少する場合にどうなるのか(問22によれば,即座に匿名組合員にとっての必要経費となりそう),それが問23のルールと整合的なのか,ということは詰める必要がある。さらに,匿名組合員が法人の場合との整合性も確保されていないようである。

§231.01
収入金額の意義(増井論文)

債務免除益(所得税法44条の2)






2018年6月17日日曜日

2018LS租税法2第9回(6月11日)

役員と使用人の給与(復習)

§325.01
東京地判平成24年10月9日
この辺りの立法趣旨についてはよくわからないところもあるが,まずは,しっかり条文を押さえておく。

§325.02
東京高判平成4年9月24日

できれば,貸倒損失・寄附金に関する裁判例をここで検討。

§325.03
大阪高判昭和59年6月29日(PL農場)
機械的な寄附金課税を行うと不当な結果になりうることを示した一連の事例。

§325.04
東京高判平成15年9月9日
交際費に対する規制の不正競争防止法,独禁法との関係?

Cf. 使途不明金,使途秘匿金

2018年6月12日火曜日

2018LS租税法R&W第7回(6月5日)

§164.03
グレゴリー事件

§164.04
最判平成17年12月19日

§164.05
最判平成18年1月24日民集60巻1号252頁(パラツィーナ事件)

§165.01
東京高判昭和55年5月29日

§166.01
最判昭和62年10月30日

§166.02
東京地判昭和40年5月26日;東京高判昭和41年6月6日

この後は,佐藤「スタンダード」359頁以下を見ていきます。

2018年6月5日火曜日

2018LS租税法1第11回(6月5日)

§224.02(補足)先物取引については,現在では,基本的には租税特別措置法41条の14及び41条の15(下記参照)が適用されるが,この規定自体,結構頻繁にその内容が変わっている。基本的には,利益につき申告分離課税,損失の金額につき一定の条件のもとで先物取引からの利益との相殺を認めている。
この規定の適用が争われた事例につき
http://www.kfs.go.jp/service/MP/12/0105000000.html
を参照。
(租税特別措置法41条の14第1項柱書(読みやすく改変したもの))
居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、次の各号に掲げる「先物取引」をし、かつ、当該各号に掲げる取引又は取得「先物取引」の区分に応じ当該各号に定める「差金等決済」をした場合には、当該差金等決済に係る当該先物取引による事業所得、譲渡所得及び雑所得については、所得税法第22条及び第89条並びに第165条の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その年中の「先物取引に係る雑所得等の金額」に対し、その百分の十五に相当する金額に相当する所得税を課する。この場合において、「先物取引に係る雑所得等の金額」の計算上生じた損失の金額があるときは、同法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす。
(租税特別措置法41条の15第1項(読みやすく改変したもの))
確定申告書を提出する居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、その年の前年以前3年内の各年において生じた「先物取引の差金等決済に係る損失の金額」(→定義は第2項)を有する場合には、前条第1項後段の規定にかかわらず、当該「先物取引の差金等決済に係る損失の金額」に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の同項に規定する先物取引に係る雑所得等の金額を限度として、当該年分の当該先物取引に係る雑所得等の金額の計算上控除する。

事業所得と雑所得の区別に関する最近の裁判例として,FX取引に関する,東京地判平成23年2月18日及びその控訴審である東京高判平成23年7月27日,横浜地判平成25年7月3日及びその控訴審である東京高判平成25年11月14日参照。
また,マイナス項目について同じ点が争われた事例として,東京地判平成25年1月29日及びその控訴審東京高判平成25年6月20日がある。

*青色申告制度(ケースブック316ページ以下)

§224.03
事業所得の範囲
名古屋高金沢支判昭和49年9月6日
借入金利子をどの所得にチャージするかという問題。

§225.01
一時所得と雑所得の区別
最判平成27年3月10日刑集69巻2号434頁
最判平成29年12月15日裁判所ウェブサイト こちらは課税処分取消訴訟

最判平成24年1月13日(ケーブック327頁)の検討 
→そもそも一時所得という扱いが甘すぎる。給与所得となると考えるべきでは?なお,渕@『租税法と市場』論文も参照。
「ハーフタックス」といったキーワードで検索すると色々情報が出てくる。

§225.02
最判平成27年6月12日
(頭出しのみ)





2018年6月4日月曜日

2018LS租税法2第8回(6月4日)

(前回の補足)
「繰延資産」(法2条24号→令14条)
6号は,税法上特に繰延資産とされたもの(成松「セミナー」190頁)

473頁6(控除の全否定かタイミングの差異か)。さらに,「資本的支出」と「修繕費」の区別(法人税基本通達7-8-3以下にあるように,実際には機械的に分けている)。


§324.04
最判平成16年12月24日
→まずは,損失,特に貸倒損失に関する基本的な枠組みをしっかり押さえておく(「概説」,百選解説(吉村政穂)など参照)。
興銀事件については,(常識的にはありえなそうな)「債権者側の事情」が考慮されるということが,ポイント。

「資産の評価損」(法33条→令68条)
(平成21年度改正の「企業再生関係税制」参照)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2009/explanation/pdf/P196-P222.pdf


§324.05
損失と損害賠償請求権の関係
東京高判平成21年2月18日

505頁4(取得費となる場合)

§325.01
役員給与(スタン127頁以下)
平成18年度改正
平成29年度改正
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/explanation/pdf/p0292-0378.pdf
ここの299ー315頁
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201703d.pdf
これの16頁

東京地判平成24年10月9日
*もうすぐ出る長戸貴之論文(民商法雑誌)をチェック!

2018年5月30日水曜日

2018LS租税法2第7回(5月30日)

補講として開講。


473ページの「6.控除の全否定かタイミングの差異か」は重要。

*そもそも業務の遂行上必要か,という論点もある。

名古屋地判平成24年11月8日(控訴審:名古屋高判平成25年4月26日)は,納税者が「転売した不動産の購入代金が3億9615万4680円であることを前提に,これを売上原価として損金の額に算入して法人税の確定申告をしたところ,処分行政庁から,上記不動産の購入代金は3億6015万4680円であり,差額の3600万円は架空計上されたものであるとして損金算入を否認され」た事案。裁判所は,「内国法人の所得金額の計算上、損金の額に算入することができる支出は,当該法人の業務の遂行上必要と認められるものでなければならないというべきである。そこで,以下においては,XがJに交付した現金3600万円のうち原告出捐に係る1800万円に原告の業務との関連性が認められるかどうかについて検討する」と述べている。

横浜地判平成17年1月19日は次のようにいう(強調は引用者)。
「ところで、法人税法22条3項は、内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額について、別段の定めがあるものを除き、原価、費用及び損失の額であるとしているところ、法人税法上、海外渡航費が損金に該当するかどうかについて、特段の規定は存在しない。したがって、海外渡航費が費用(同法22条3項2号)に該当するものとして損金の額に算入されるべきかどうかは、当該海外渡航の性質に照らし、それが当該法人の業務の遂行上必要な費用と認められるものであるかどうかによって判断すべきである。そして、当該海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかについては、渡航者と当該法人との関係、渡航の目的、渡航先、渡航先での当該渡航者の活動及び渡航期間等の諸般の事情を総合的に考慮して判断することが相当である。
 基本通達において、「法人がその役員又は使用人の海外渡航に際して支給する旅費は、その海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経費を認める。」(同通達9-7-6)とした上で、「法人の役員又は使用人の海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定する。」(同通達9-7-7)とし、さらに、「法人の役員が法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航に際し、その親族又はその業務に常時従事していない者を同伴した場合において、その同伴者に係る旅費を法人が負担したときは、その旅費はその役員に対する給与とする。ただし、その同伴が例えば次に掲げる場合のように、明らかにその海外渡航の目的を達成するために必要な同伴と認められるときは、・・・その限りではない。」とし、その例示として「国際会議への出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合」等を挙げている(同通達9-7-8)のも、上記の判断基準と同様の趣旨に基づくものと解される。」
このような一般論を踏まえて,判決は,法人の役員の小学生の子供2人の海外渡航費について,次のように判断した(現在と役員報酬に関する規律が異なることに注意)。
「そうすると、本件各渡航費は、海外渡航費として原告の損金の額に算入されるべき性質のものではなく、上記のところからすれば、丙の扶養者である甲が個人的に負担すべき費用というべきであり、これを原告が支出したことは、原告の甲に対する臨時的な給与、すなわち賞与として支給したものと認められるから、法人税法35条1項の規定により、原告の損金の額には算入されないものである。
 したがって、本件各渡航費は、原告の本件各事業年度の損金の額には算入されず、また、原告は、甲に対する本件各渡航費の支給について、所得税を徴収し、国に納付すべき義務があるというべきである(所得税法183条1項)。」


損金の第1のカテゴリー
§324.01
最判平成16年10月29日


具体例の補充として以下の事例(東京地判平成27年9月25日)を見てみよう。
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2015/pdf/12725.pdf

「また,同[22]条4項は,同[法人税]法における所得の金額の計算に係る規定及び制度を簡素なものとすることを旨として設けられた規定であると解されるところ,「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」との規定の文言にも照らすと,現に法人のした収益等の額の計算が,法人税の適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的(同法1条参照)とする同法の公平な所得計算という要請に反するものでない限りにおいては,法人税の課税標準である所得の金額の計算上もこれを是認するのが相当であるとの見地から定められたものと解され(最高裁平成4年(行ツ)第45号同5年11月25日第一小法廷判決・民集47巻9号5278頁参照),法人が収益等の額の計算に当たって採った会計処理の基準がそこにいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(公正処理基準)に該当するといえるか否かについては,上記に述べたところを目的とする同法の独自の観点から判断されるものと解するのが相当である。
 そして,このような見地から法人税法の課税所得における損金の計算についてみると,一般に,同法22条3項1号に規定する,特定の収益との対応関係を明らかにできる売上原価等については,その収益が計上された事業年度に,同項2号に規定する販売費,一般管理費等については,発生した事業年度に,同項3号の損失については,損失の発生した事業年度に,それぞれ損金の額として算入されるべきものと解するのが相当である。」

過去の年度に計上すべきであった売上原価を損金算入することを否定。そして,納税者の主張する前期損益修正の扱いにつき,次のように述べて,法人税法独自の観点から否認。
「前記(1)で述べたような法人税法22条4項の趣旨に照らすと,企業会計の慣行として広く行われている処理であっても,適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的とする同法の所得計算という要請に反する場合には,公正処理基準に該当するということはできず,公正妥当であるとはいえないものとして,法人税法上採用することができないものというべきである。」


損金の第2のカテゴリー
§324.02

§324.03
最判平成20年9月16日

*東京地判平成28年7月19日(横溝大先生(名古屋大学)の評釈あり)

2018LS租税法R&W第6回(5月29日)

§163.01
これは民法で動機の錯誤の説明で出てくる判例。

§163.02
静岡地判平成8年7月18日。時効援用時に一時所得となるとの判断。
東京地判平成4年3月10日訟務月報39巻1号139頁も見ておきたい。長期譲渡所得が生じるかどうかが争われた事案。課税庁が,時効取得時の時価が取得価額であるという(ある意味,甘い)処分をしたのだが,納税者はこの課税処分を争った。
さらに,ケースブック128頁で引用されている,大阪高判平成14年7月25日。

§164.01
「租税回避」という概念はあまり使いたくないが,一応説明。

§164.02
東京高判平成11年6月21日
東京地判平成13年3月28日→東京高判平成14年3月20日(岸事件)も見ておく。

2018年5月29日火曜日

2018LS租税法1第10回(5月29日)

支払者の源泉徴収義務に関する問題
→アブノーマルな経済的価値の流出の場合にも,源泉徴収義務を負うとされる。

給与所得控除

§223.05
最判昭和58年9月9日
これも最高裁の示した一般論が重要。若干わかりにくい「これらの性質を有する給与」につき,調査官解説を読んで考えてみよう。

*以上のような広い意味での人的役務の対価に対する課税問題は,もちろん法人税法の役員報酬に関する規律と合わせて理解すべきであるが,さらにより広く,企業の役員に対する報酬のあり方という面からも考えておくべきである。
例えば,櫛笥隆亮による次のようなプレゼン資料が一つの参考になろう。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/cgs_kenkyukai/pdf/006_05_00.pdf

§224.01
弁護士顧問料事件(既出)

§224.02
そもそもなぜ,雑所得について損益通算が認められなくなったのか?
→昭和43年度税制改正。




2018LS租税法2第6回(5月28日)

§322.05(承前)
新株有利発行により経済的価値を受領した側の受贈益の計上が問題となった東京地判平成27年9月29日(ケースブック456ページ参照)とは異なり,経済的価値を喪失した側のキャピタル・ゲイン課税が問題となっている(所得税法でいう「みなし譲渡」に相当)。

解釈論として問題となる点については,ケースブック461ページ4参照。

ケースブック461ページ5について。
平成10年改正により改正(のちに平成13年改正で廃止)された旧法人税法51条(特定現物出資の圧縮記帳)の適用について,原審は次のように述べていた(強調は引用者)。
「なお、上記の結論によると、もともと原告が保有していた株式に関する多額の含み益については、何らの課税もされない結果が生ずることとなるが、これは、法51条がその定める特定出資についていわゆる圧縮記帳による課税の繰延べを認め、しかも平成10年改正前には外国法人の設立についても同条の適用が認められていたことに端を発するものである。すなわち、同条の圧縮記帳の方法により保有株式を簿価で現物出資して外国法人を設立した後、当該外国法人が現物出資された株式をやはり簿価によって他の外国法人に譲渡した場合、当該譲渡には我が国の課税権が及ばないことから、結局、本件と同様、圧縮記帳によって課税が繰り延べられた含み益については、我が国では課税がされないままで終わらざるを得ないのである。本件における税務上の事態は、アトランティック社がその保有するテレビ朝日等の株式を簿価でアスカファンド社に譲渡した場合にも生ずることであり、その場合には原告に益金が生じたとみる余地は全くないのであるし、また、そのよ
うな事態が生ずることは、圧縮記帳の方法により外国法人の設立を許した場合には容易に想定し得るにもかかわらず、法が何らの措置を講じていないことからすると、法自体がやむを得ないものとして放置していたといわざるを得ないのであるから、結局、本件のような事態の起こることは、当時の法人税法上やむを得なかったと考えられるのである。」

損金
§323.01
まず全体像をつかむことが重要であり「スタンダード」をしっかり見ておきたい。まず,資本等取引からは損金が生じないことを把握し,次に,3つのカテゴリーのそれぞれについて基本を押さえ,さらに「別段の定め」による修正ないし補充を抑えること。

§323.02
最判昭和43年11月13日はかなり古い事案。一応見ておく程度でよい。2つのロジックの混淆というか並立。ただし,負債と株式の区別の問題は理論的にも実務的にも極めて重要。

§323.03
最決平成6年9月16日
→どうも詭弁という印象が拭えないのだが・・・





2018年5月27日日曜日

2018租税法1第8・9回(5月23日)

補講として開講。

§223.01
最判昭和56年4月24日民集35巻3号672頁(弁護士顧問料事件)
最高裁が示した一般論をしっかり把握しておくこと。

東京高判昭和47年9月14日(日本フィルハーモニー)

最判平成13年7月13日(りんご生産組合。百選第4版に私の解説あり)
民法上の組合は,いわゆるパス・スルー課税に服するが,現実には,源泉徴収義務を負う(この事件の第一審参照)など,事実上の権利義務の主体として活動を行なっている。そのような民法上の組合とその一構成員である組合員との間に,給与所得を基礎付けるような法律関係が成立しうるかどうか,ということが問題となった。最高裁は,これを肯定した。税務署長の処分やこれを認めた高裁判決は,組合と組合員との間の金銭の「分配」と,組合レベルで計算して生じた観念的な利益の組合員への「配賦」とを混同しているきらいがある。

福岡地判昭和62年7月21日(九電検針員)
労働法上の労働者性を主張することが主眼だったのかも。

給与所得と事業所得の区分の,消費税との関係。

厳密にいうと,給与所得の中でも通達によって課税が軽減されているサブカテゴリーがある。所得税基本通達28ー1は次のように定める。
28-1 宿直料又は日直料は給与等(法第28条第1項に規定する給与等をいう。以下同じ。)に該当する。ただし、次のいずれかに該当する宿直料又は日直料を除き、その支給の基因となった勤務1回につき支給される金額(宿直又は日直の勤務をすることにより支給される食事の価額を除く。)のうち4,000円(宿直又は日直の勤務をすることにより支給される食事がある場合には、4,000円からその食事の価額を控除した残額)までの部分については、課税しないものとする。
(1) 休日又は夜間の留守番だけを行うために雇用された者及びその場所に居住し、休日又は夜間の留守番をも含めた勤務を行うものとして雇用された者に当該留守番に相当する勤務について支給される宿直料又は日直料
(2) 宿直又は日直の勤務をその者の通常の勤務時間内の勤務として行った者及びこれらの勤務をしたことにより代日休暇が与えられる者に支給される宿直料又は日直料
(3) 宿直又は日直の勤務をする者の通常の給与等の額に比例した金額又は当該給与等の額に比例した金額に近似するように当該給与等の額の階級区分等に応じて定められた金額(以下この項においてこれらの金額を「給与比例額」という。)により支給される宿直料又は日直料(当該宿直料又は日直料が給与比例額とそれ以外の金額との合計額により支給されるものである場合には、給与比例額の部分に限る。)

§223.02
京都地判昭和56年3月6日

神戸地判平成元年5月22日

実務的には,源泉徴収義務者が183条に基づく源泉徴収をするのか,204条に基づく源泉徴収をするのか,あるいは,源泉徴収義務を負わないのか,ということが問題。
次に掲げる所得税基本通達が示すように,弁護士顧問料事件最判の基準からすると給与所得になり得ないようなものであっても,実務上給与所得として扱われていることがある。

28-7 国又は地方公共団体の各種委員会(審議会、調査会、協議会等の名称のものを含む。)の委員に対する謝金、手当等の報酬は、原則として、給与等とする。ただし、当該委員会を設置した機関から他に支払われる給与等がなく、かつ、その委員会の委員として旅費その他の費用の弁償を受けない者に対して支給される当該謝金、手当等の報酬で、その年中の支給額が1万円以下であるものについては、課税しなくて差し支えない。この場合において、その支給額が1万円以下であるかどうかは、その所属する各種委員会ごとに判定するものとする。」

§223.03
最判昭和37年8月10日
→当時,通達により,一人当たり月額500円までは非課税とされていた。その後,法9条1項5号,令20条の2が定められた。

フリンジ・ベネフィット,「使用者の便宜」理論

最判平成17年1月25日民集59巻1号64頁(ストック・オプション)
所得税法228条の3の2も見ておく。  
299頁の記述に関連して,平成28年度改正における「譲渡制限付株式」の解禁(所得税法施行令84条)が重要(実務サイドからの解説として,TandAマスター647号4頁(櫛笥)参照)。令84条の規定は,基本的に299頁の裁判例の立場と同じ。




2018年5月23日水曜日

2018LS租税法R&W第5回(5月22日)

§132.01
大阪高判昭和44年9月30日(スコッチライト事件)

スコッチライト(Scotchlite)とは・・・
https://www.3mcompany.jp/3M/ja_JP/scotchlite-reflective-material-jp/

関税評価の仕組み。

*87ページ,「外間実」は「外間寛」の誤記。

87ページの「関連裁判例」だが,重要なのは,固定資産税に関する一連の最高裁判例(90ページ参照。資料を配布する)。

§140.01
告示の法源性については争いがある。

§140.02
最判昭和33年3月28日(パチンコ球遊器事件)

§150.01
東京高判昭和59年3月14日(大陸棚)
実務的には結構重要な問題。イギリスでもこの件に関する議論がある。

§161.01
最判平成22年3月2日民集64巻2号420頁(ホステス報酬)(百選第6版に私の解説あり)

§162.01
武富士(私の評釈あり。しかし,最近の悩みにつき近刊の『概説(第3版)』参照。)

§162.02
匿名組合契約


2018年5月22日火曜日

2018LS租税法1第7回(5月22日)

261ページの土地改良区決済金事件から

§222.06
最判平成17年2月1日
(無償移転が介在したため)取得費等の引き継ぎが行われる場合における,取得費の範囲。
納税者を救済するというこの時期の最高裁らしい判決であると同時に,前述の「付随費用」を梃子にした法律論を展開している。

§222.07
269頁1は,時間があったらみんなで考えてみる。
東京地判平成3年2月28日
最判平成6年9月13日判例時報1513号97頁
→昨日租税法2で扱った遺留分減殺請求に関する判例との比較。最判平成17年2月1日が出た後から考えると,理由づけは不十分。

東京高判平成23年9月21日
→未分割の遺産を構成する個々の財産については共同相続人が法定相続分に従って持分を有しているとみなされる。この個々の財産の一つを売却して譲渡所得が発生した場合,それは,実質的には,「未分割の遺産に対する所得税」である。しかし,今の日本の所得税法・相続税法では,相続開始時に即座に相続人が遺産を構成する個々の財産を取得するとみなしているので,こうした「未分割の遺産に対する所得税」は,形式的には,共同相続認に対する所得課税と構成されざるを得ない。所得税額の負担については,遺産分割の際に共同相続人間で考慮してもらうしかない。(原審は「ちなみに,同所得税を相続財産の管理に関する費用とみれば,本来的相続分に応じて負担することになり(民法885条,253条),相続税と同様これに該当しないと見れば共有者固有の債務となるが,本件ではいずれにせよAの負担となる」と述べているが,上記のように解するならば,必ずしもそのようには言えないのではないか。)

§222.08
個人的には課税処分にやや無理があると思う,2つの関連した裁判。なぜこのような課税処分が「強行」されたのか。その背後にある,相続税法の実務(財産評価)の問題点とは?
最終的には,父から妻・娘への土地の「負担付贈与」が「(低額)譲渡」として譲渡所得を発生させ(別件訴訟),その直後に行われた妻・娘から浜名湖競艇事業団への土地の売却によるキャピタル・ゲインが短期譲渡所得として扱われる(本件)とされた。
*一般に,負担付き贈与についてこのような課税が行われているのか?債務の承継を伴う相続(「負担付き相続」?)においては,このような課税は行われていないのではないかと思うのだが・・・
*対価を払う,というタイプの「贈与」が本当に「負担付き贈与」なのか,そもそも贈与と事実認定すべきではないのではないかという問題もある。

東京高判平成26年5月19日
→個人から法人への「高額譲渡」。譲渡の対価として申告された部分の一部が一時所得であるとして課税処分が行われた珍しい事例。普通に考えれば,どちらでも税額は変わらないのだが,本件では,(当初申告において)取得費が総収入金額を上回っており,譲渡所得の金額の計算上損失の金額が生じていた。

2018LS租税法2第5回(5月21日)

§322.03
大阪高判昭和53年3月30日

考え方としては,二段階で理解すると良い。
第1に,資産の移転ないし役務の提供を通じて,手放した会社には,どのような課税関係が生じるか。その際,時価での譲渡ないし時価での役務提供があったとみなして(所得税でいう「みなし譲渡」と同じ),課税関係を考える。
第2に,会社に実際に残っている経済的価値(無償譲渡・無償提供の場合は,ゼロ。低額譲渡・低額提供の場合は,受領した対価)と時価との差額をどのように性質決定するか考える。役員報酬?それとも,寄附金?どのように性質決定するかにより,どの範囲で損金算入できるかが違ってくる。
*スタン67-71頁

ケースブック452頁の「対価的意義を有する利益」と513-516頁の寄附金とならない場合についての説明。(→スタン80-82頁。昨年度の租税法2試験問題及びその解説も参照。寄附金のところでまとめて解説する。)

*スタン74-75頁の「一段階説」
要するに,実際の対価がなんであろうと,資産の譲渡が行われた場合に,時価で譲渡が行われたとみなしてキャピタル・ゲイン(ロス)を実現させて課税を行う。

§322.04
これは,そんなに難しくない。所得税でいう一時所得と同じように考える。
個人の側の譲渡益課税,相続税の課税,受贈者たる法人の法人税の課税,の3つについて混乱しないように!
*所得税に関する事案だが,455頁の最判平成4年11月16日判例時報1441号66頁も見ておく(これも,味村治裁判官の反対意見あり)。→昨年度の租税法1の講義資料

*余裕があれば,456頁に引用されている,東京地判平成27年9月29日判例タイムズ1429号181頁を考えてみたい。

§322.05
最判平成18年1月24日(オウブンシャホールディング)
 まずは,なぜこのような取引が行われたのか,考えてみたい。私自身の書いたものとして,百選第5版58事件解説参照。



2018年5月20日日曜日

2018LS租税法1第6回(5月16日)

補講として開講。


§222.04
「二重利得法」
所得税法39条の類推適用でも行けたかも。

§222.05
最判平成4年7月14日
5月8日にも話した,支払利子をどこに対応させるか,という話。本判決を最判平成4年9月10日の味村意見(先週の配布物に掲載)と対比せよ。なお,金子論文,中里=ラムザイヤー論文も面白い。
後年の最高裁判決との関係では,「付随費用」という概念を導入したことに意味があるということになろう。→譲渡費用の文脈で,最判平成18年4月20日(次回扱う)

260ページの「減価償却資産の取得費」の仕組みもしっかり理解しておくこと。



2018年5月14日月曜日

2018LS租税法2第4回(5月14日)

§322.01
法人税法22条2項を読む
ケースブック442ー443頁の記述をしっかり押さえておく
「有償取引」に関するルールが原則であることをまずは把握する
その上で,「無償取引」(ないし,低額取引)が問題となる場合の処理を理解する
 (この授業のベースともなる私自身の理解については,金子宏編『租税法の発展』所収の「適正所得算出説を読む」を参照。)

時間軸との関係では,相互タクシー事件→清水惣事件→南西通商事件

§322.02・03
最判平成7年12月19日民集49巻10号3121頁(南西通商)
→なぜこういう取引をしたのか?所得税法上の株式譲渡益非課税の廃止との関係か(参照,佐藤英明『スタンダード所得税法(第2版補正版)』147頁。パチンコ平和事件も同時期の事案)。
最判昭和41年6月24日民集20巻5号1146頁(相互タクシー)



2018年5月13日日曜日

2018LS租税法1第4・5回(5月9日)

補講として2コマ連続で開講。

利子所得・配当所得の補充

2017講義資料49-66ページに引用の裁判例を参照。
横浜地判平成2・3・19 税務訴訟資料175-1228
東京地判平成21・11・12 判タ1324-134

譲渡所得
(配布物)
「譲渡所得の全体像」
2017講義資料92-113ページ

*所得税法の条文の書きぶりからは,「移転」は財産権の帰属の変更全てを含むのに対して「譲渡」はなんらかの経済的価値の流入を伴うものを想定していたと考えられる。所得税法においては,「無償譲渡」などという表現はmisnomerに他ならない。しかし,「譲渡」を(所得税法にいう)「移転」の意味で用いている法人税法(22条2項を参照せよ)の議論と混線して,「無償譲渡」という表現が所得税法を論じる際に用いられるようになってしまった。最高裁判例でも,「移転」のつもりで「譲渡」という言葉を用いている例がある(昭和47年,50年の判決を参照)。最近の学説も,「移転」と「譲渡」を互換的に用いて論じているものが多い。この授業では,両者をしっかりと区別して説明する。その方が,譲渡所得課税を正しく理解できるはず。

 §221.01
最判昭和43年10月31日は「みなし譲渡」の事例
最判昭和47年12月26日では,直接には,譲渡所得の収入金額が問題となっている。

§221.02
最判昭和50年5月27日は,読み方が難しい。本件における財産分与に伴う不動産の移転が有償移転なのだとすると,無償移転に言及した一般論に意味はないということになりそう。
最判昭和45年10月23日は,ケースブック引用部分の後の叙述にも注意。本当に類推適用したわけではない!

§221.03
「生活に通常必要な動産」と「生活に通常必要でない資産」
ケースブック249ページの「有価証券の売買から生じる譲渡所得が非課税とされていた」ことに関しては,278ページのコラムのほか,557ページ以下の最判平成16年7月20日も参照。







2018年5月9日水曜日

2018LS租税法R&W第4回(5月8日)

§125.01
最判平成23年9月22日
私自身の研究(財産権保障と租税の関係,「遡及立法」)は,これの関連事案の第一審判決の評釈から発展させたもの。

なお,ケースブック25ページ4の記述(第5版で新たに付け加えられた部分)に注目。

租税公平主義
§131.01
サラリーマン税金訴訟(大島訴訟)

最判昭和37・2・28(源泉徴収制度の合憲性):最近でも引用されることのある重要な先例。

(次回ここから)
§132.01
スコッチライト事件。

2018年5月8日火曜日

2018LS租税法1第3回(5月8日)

利子所得・配当所得
*歴史的経緯を知っておくことは重要。スタンダード所得税法59ページ以下を読んでおくとよい

§221.01
利子所得というものを民法の典型契約に準拠して理解するのか,それとも,課税の方法から演繹的に・目的論的に理解するのか,という対立を示す裁判例。

東京高判平成18年8月17日(デット・アサンプション)
「控訴人[銀行]は,本件各社債発行会社から,控訴人において当該金員を費消し,運用することを認める前提の下に,A金員の寄託を受けるとともに,本件各社債の元利金の支払日に,A金員及びその運用の対価としてあらかじめ定められた利率により算定された本件金員との合計額であるB金員を,預金者である本件各社債発行会社に対して直接払い戻すことに代えて,本件各社債の元利金の支払債務の履行のために,本件各契約上指定された原契約の相手先[社債発行会社の支払代理人]に対して支払う旨の合意が成立したものと認められるのであり,控訴人は,この支払により,預金(利子を含む。以下同じ。)の払戻しを行ったもの,あるいは,本件各契約における合意に基づき,その支払による求償権と預金の返還請求権とが相殺され,預金を返還したのと同一の効果が生じたものとみることができる。したがって,本件各契約は,控訴人が本件各社債発行会社から社債元利金支払日を返還期限としてA金員の預託を受け,A金員に預託を受けた期間に係る利子に相当する本件金員を加算した額をB金員として返還するという預金契約(消費寄託契約)と,預託されたA金員及びその利子を原資としてB金員を本件各社債発行会社に代わって支払うという委任契約が複合した契約であって,A金員の預託は「預金」に当たり,本件各金員はその利子に当たると認められる。」

§221.03
最判昭和35年10月7日民集14巻12号2420頁
上告人(東京国税局長)の訴訟代理人・田中勝次郎による上告理由

配当控除(92条)及び例外的な(しかし一般的な)課税方法(スタンダードに沿って説明)

(次回)
譲渡所得の全体像
www.geocities.co.jp/CollegeLife-Labo/4454/joto.pdf
 


2018LS租税法2第3回(5月7日)

§321.02(承前)

確認すべき用語:「損金経理」,「申告調整」

1966年の「意見書」に反映される各界の本音とは?
一般に,課税官庁としては,企業会計に基づく投資家に対する情報開示と租税会計に基づく課税官庁に対する情報開示が同一の情報に基づいていること(以下、便宜上「二人三脚的仕組み」という)が望ましい。過小な申告のインセンティヴを減殺するという意味で。(非公開会社ではこのような力学が存在しない。)
企業:投資家と課税官庁にそれぞれいい顔をしたい。投資家には利益を多く見せたいし,課税官庁には所得を少なく見せたい。しかし,二つの会計ルールが存在してそれぞれについて準備をする必要があるとすればそれはそれで面倒。
会計学者:企業の健康診断表であるはずの会計書類・財務諸表が,租税会計によって歪められるのは,けしからん。二人三脚的仕組みは,廃棄すべきである。


スタン30-40頁。「概説」のこのあたりの説明も良い。

 法人税法22条4項。どういうものが含まれるのか確認。

法人税法74条についての裁判例を一応確認。

§321.03
最判平成5・11・25民集47巻9号5278頁

(参考文献)
椿弘次『入門・貿易実務(第3版)』(日本経済新聞出版社,2011年)第7章;江頭『商取引法』第3章第1節

(一般論)
(1)「収益は,その実現があった時,すなわち,その収入すべき権利が確定したときの属する年度の益金に計上すべき」
(2)「右の権利の確定時期に関する会計処理を,法律上どの時点で権利の行使が可能となるかという基準を唯一の基準としてしなければならないとするのは相当ではなく,取引の経済的実態からみて合理的なものとみられる収益計上の基準の中から」継続して利用している基準であればOK
(3)しかし,未確定なのに収益に計上したり,すでに確定しているのに収益に計上しないというのはダメ
→(2)と(3)を合わせて読むと,最高裁の考える「収入すべき権利の確定」=「実現」は時間的な幅のある概念であり,継続して利用している基準であっても,その一定の幅の外に出るような基準は妥当でない,ということになろう。
(あてはめ)
(ア)船荷証券の買主への提供(原則)
(イ)商品の船積み(「船積日基準」)(これもOK)
(ウ)「為替取組日基準」:「商品の船積みによって既に確定したものとみられる売買代金請求権を,為替手形を取引銀行に買い取ってもらうことにより現実に売買代金相当額を回収する時点まで待って,収益に計上するものであって,その収益計上時期を人為的に操作する余地を生じさせる点において,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合するものとはいえない」
→(ア)と(ウ)の関係が明らかではないし(大白裁判官は(ウ)は(ア)と同視できるという),上記の一般論と(ウ)も対応していない。上記の一般論からすれば,(遅い)(ア)と(早い)(イ)の間にある(ウ)という基準は問題がないはず(味村裁判官はそのように判断)。しかし,結局「収益計上時期を人為的に操作する余地があってはならない」という上記の一般論に示されていない命題に基づいて,「為替取組日基準」は「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合するものとはいえない」と判断されている。
→(文面からはそう読みづらいが)(ア)は元来原則だけれども(イ)が普及したことでもはや許されなくなった,と理解するならば,筋は通る。

平成30年度改正により新設された法人税法22条の2(後日補充する)


最判平成4年10月29日
 東北電力が,1972年から1984年にわたり,電気料金と電気税を過大に徴収していた。1984年12月に,東北電力から納税者に対して1億5000万円余を返戻する合意が成立。

「上告人[納税者]は,昭和47年4月から同59年10月までの12年間余もの期間,東北電力による電気料金等の請求が正当なものであるとの認識の下でその支払を完了しており,その間,上告人はもとより東北電力でさえ,東北電力が上告人から過大に電気料金等を徴収している事実を発見することはできなかったのであるから,上告人が過収電気料金等の返還を受けることは事実上不可能であったというべきである。そうであれば,電気料金等の過大支払の日が属する各事業年度に過収電気料金等の返還請求権が確定したものとして,右各事業年度の所得金額の計算をすべきであるとするのは相当ではない。上告人の東北電力に対する本件過収電気料金等の返還請求権は,昭和59年12月ころ,東北電力によって,計量装置の計器用変成器の設定誤りが発見されたという新たな事実の発生を受けて,右両者間において,本件確認書により返還すべき金額について合意が成立したことによって確定したものとみるのが相当である。」

*なぜ,本件の争訟が生じたのか?課税庁にとって,納税者にとって,それぞれの主張するやり方が有利なのはなぜか?

(分析)
租税法適用の前提となる私法上の法律関係に関する認識として「1972年から1984年にかけての過大な(しかし正当な)電気料金の支払い+1984年12月の返戻金の確定」と理解するならば,最高裁(多数意見)がいうような処理が自然であるようにも思える。しかし,味村裁判官は,「1972年から1984年にかけて正しい電気料金を支払った」という私法上の法律関係が(返戻金を介して)存在しているという認識を前提に,過大な電気料金の支払い分を損金算入したことは誤りであり,返戻金に対する課税はできないと考えている。問題は,私法上の法律関係についての後者のような認識を前提として,税法上,多数意見のような扱いができるかどうか。
*最判平成22年10月15日,最判昭和47年12月26日とも比較してみよう。
*税法の問題として,一応正当に発生したように見える経済的価値が最終的には実現しなかった場合にどのように処理するかという問題がある。この点につき,所得税法の事業所得・法人税法については遡及的な調整を行わないのに対して(「前期損益修正」として後の年度で調整する),事業所得以外の所得税法では遡及的な調整を行うことになっている。(とりわけ租税法1の授業でこれから説明していく。)

最近の裁判例について
ケースブック435-437ページ,スタン44-50ページ

§321.05
詳しくはスタン168ページ以下

2018年5月1日火曜日

2018LS租税法R&W第3回(5月1日)

§121.01
ケースブックでは主として租税法律主義に言及する部分が載っているが,引用されている部分の前には,次のように書かれている。
「論旨は土地の固定資産税の納税義務者は、同税の納期において真実の土地所有権者と解すべきであるにもかかわらず、地方税法の関係条規を右と異って原判決のように解するとすれば、原判決は憲法一一条、一二条、一四条、二九条、三〇条、六五条に違反すると主張するのである。よって地方税法の関係条規を見ると、土地の固定資産税は土地の所有者に課せられるけれども、土地所有者とはその年度の初日の属する年の一月一日現在において、土地台帳若しくは土地補充課税台帳に所有者として登録されている者をいい(地方税法三四三条、三五九条)、従ってその年の一月一日に所有者として登録されていれば、それだけで固定資産税の納税義務者として法律上確定されるから、四月一日に始まるその年度における納期において土地所有権を有する者であると否とにかかわらず、同年度内納税義務者にかわりがないことになっている。かように地方税法は固定資産税の納税義務者を決定するのに課税の便宜のため形式的な標準を採用していることがうかがわれるのである。」
すなわち,固定資産税のいわゆる「名義人課税主義」の合憲性が争われた事案である。

§121.02
重要。最高裁が何を言ったのか,しっかり把握しておく。また,国民健康保険料の決定方法がどうなっていたのか,も。

§122.01
課税要件法定主義。委任立法自体は憲法が許容しているから,どこまでを議会で定めなくてはならないか,ということが問題。基本的には「法規」だが。
行政法一般と租税関係で特に違うのかどうか,ということも一つの論点だが,とりあえずケースブックに載っている裁判例を見ておこう。
「大阪銘板事件」当時の法人税法施行規則はかなり込み入っている。

§123.01
課税要件明確主義。

§123.02
秋田市国民健康保険税事件。
神奈川県臨時特例企業税事件。

§124.01
合法性の原則。
課税庁と納税者の間の合意が許される範囲の問題は,結局,裁判所の権限の問題?(客観的には間違っているかもしれない)両者の合意に,裁判所がどこまで拘束されるか?

2018LS租税法1第2回(5月1日)

§211.02
最判昭和46年(承前)
「更正の請求」について,基本的な条文を確認すること

§211.03
「実現(realization)」 とは(一応の定義):ある者に帰属する経済的価値が,外部に明らかな形で評価されること。売買や交換がその契機としての典型。
アメリカ(租税)法における基本概念:かつて,「実現」が所得税課税のための要件と解されている時期があった。
所得の「発生(accrual)」と「実現」の区別
アメリカでも日本でも,未実現であるとしても発生していれば所得に対して課税できる
立法政策上,未実現の利得に課税しないということにしている場合は少なくない(譲渡所得など)

「帰属所得(imputed income)」
imputeというのは,attributeと同じような意味
見たところ所得はなさそうだが,実際には所得が発生しているがそれを即座に自ら消費しているような場合に,所得がある,ということを説明するための概念が「帰属所得」

§211.05
大阪地判昭和54・5・31
包括的所得概念(純資産増加説)から考えた,とも言いうる判決
事前と事後の経済状態を比較して,差額を(非課税所得ではない)所得と見ている

日本では,不法行為に基づく損害賠償は損害を塡補するものであるということになっているが,政策的に重い賠償金が課されるアメリカでは実損害の塡補を超える部分が所得課税の対象となるか議論がある(→玉國教授の一連の研究。2015年度学部講義ノート43-46ページ)。
日本でも,契約の不履行等に伴い契約当事者が損害賠償金を取得することがありうる。この損害賠償金が,当事者の経済状態を高めるものである場合には,課税の対象となるか?しかし,契約が普通に履行されたとしても,当事者の経済状態は高まるのではないか(そのようなことが想定されないと,当事者はそもそも契約を結ばない)?

最近,損害賠償金およびそれと関連する金員に関する課税関係をめぐる裁判例がいくつも現れている。細かく区分して,それぞれの性質を考えて,課税関係(課税されるか,所得分類はどれか)を判断する必要がある。

§214.01
スタン44-55
似たような概念について混乱してしまわないためには,条文が使っているターミノロジーの正確なところをしっかり覚えるのも大事。

包括的所得概念と所得分類(が存在すること)の緊張関係:正確に言えば,シャウプ勧告以前の「所得の種類ごとに担税力や適切な課税方法が異なる」という思考の残存である。

損益通算に対する制限が果たしている機能=個別的否認規定といってよい:実質的には所得(消費)である要素が控除の対象となってしまうことを防止する機能;恣意的な(実際の経済的地位の変化に対応しない)損失の額を利用して他の種類の所得の額への課税が及ばないことを防止する機能。

2018年4月18日水曜日

2018LS租税法R&W第2回(4月17日)

金子『租税法』第1編租税法序説を読む(その2)

租税法律主義については,かなりの議論がある(→フィナンシャル・レビュー)。それは,前回申し上げたような,この概念の実際上の重要性にも由来している。

第2節 租税公平主義

論じるべきことはたくさんあるが,意外と未開拓。
→昨年度の学部租税法講義
詳しくは,ケースブックに沿って勉強する。

第3節 自主財政主義

これが一つの柱としてあがっているのが,金子『租税法』の特徴(『概説』も同様)。

第5章 租税法の法源と効力

第1節 租税法の法源
憲法は,それに反してはならないという限りでの「法源」。条約についても憲法と同様に考えるか?
告示の位置づけは,行政法学者等と少し違う。

第2節 租税法の効力(適用範囲)
ケースブック§125.01
最判平成23・9・22民集65巻6号2756頁
金子先生の言う「遡及立法禁止原則」は,望ましいものという意味,指針としての原則であって, 例外を許さないものではない(他の事情との考量に服する)ことに注意。
最高裁判決以前の学説(「期間税」などを論じていた)と最高裁判決の距離。
*木下昌彦編『精読憲法判例[人権編]』第17章扉,54事件解説(いずれも,村山健太郎(学習院大学教授)執筆)を見ておくこと。

第6章 租税法の解釈と適用
第1節 租税法の解釈
一般論「その解釈は原則として文理解釈によるべき」
租税法と私法
(1)借用概念と固有概念
(2)私法上の法律行為と租税法

租税回避:第21版と第22版の叙述の差異!難しい問題。

信義則(禁反言の法理)

第2節 租税法の適用
どうやって事実認定するか。パラツィーナ事件の第一審,売買か交換か(岩瀬)事件参照。

*次回からケースブックに沿って進める。

2018年4月17日火曜日

2018LS租税法1第1回(4月17日)

進行予定・休講と補講の予定は配布物のとおり

「ケースブック租税法」に沿って進める。佐藤「スタンダード」と「租税法判例六法」は入手して授業に持ってくること。

 縦糸と横糸としての,所得分類論,収入金額・必要経費。やや特殊な譲渡所得関係。

§211 所得概念(§211.04を除く)

所得算定のルール(§214)の背後仮説としての「所得概念」。条文の解釈の指針となる。
歴史的な形成・発展過程はそれ自体として興味深い(→藤谷武史「非営利公益団体課税の機能的分析—政策税制の租税法学的考察(1)-(4・完)」国家学会雑誌117巻11・12号1021-1129頁,118巻1・2号1-110頁,118巻3・4号220-322頁,5・6号487-599頁の第2章(上記(1)および(2))におけるサイモンズの構想。なお,渕「所得の構成要素としての純資産増加」金子他編『租税法と市場』所収(イギリスとドイツの差異を強調)も)。
しかしここでは,金子宏によるオーソドックスな理解及びサイモンズによる定義(178ページ)をしっかり押さえておくこと。
実定法の解釈との関係では,「収入金額」にあたるか否か,という問題として立ち現れる。

神戸地判昭和59・3・21
なぜこの補助金を収入金額に算入しないといけないのか?
受け取った補助金の支出の際の扱いはどうなっているのか?

佐藤4ページ冒頭の定義はそれ自体正しいものが,実際に使う際には要注意

最判昭和46・11・9民集25巻8号1120頁(利息制限法違反利息)
金融業者に対する課税事案の背景:当時の経済状況,当時の大蔵省の役回り。
実定法の解釈論としてはここでも「収入金額」の意義
背景として,旧通達での違法利得への課税に対する消極的な態度
最高裁が何を言っているか,しっかり理解しておくこと








2018年4月16日月曜日

2018LS租税法2第2回(4月16日)

ケースブック§312

最判平成27・7・17民集69巻5号1253頁(百選6版[田中啓之」参照)
どのような事案か?
納税者(を勧誘した金融機関)はどのような節税を狙っていたのか?cf. パラツィーナ事件
最高裁は何を言ったのか?
2つの基準のどちらに該当するのか。

課税される所得の範囲(408ページの表)
「非営利型法人」という類型があることに注意

最判平成20・9・12(ペット葬祭業)
最高裁によれば,収益事業に課税することの趣旨は?
最高裁の立てた一般論(考慮要素)。喜捨か対価かは社会通念に依らざるを得ないか。
本件への当てはめ?
そもそも,本件ではなぜ,課税処分が行われたのだろうか?事案の細部に注目すると,この宗教法人の他の活動,本来の宗教活動と認定されうる活動も含めて一括した対価収受。

*藤谷武史の一連の研究(公益法人・公益信託。所得概念(の背後にある社会像)との関係)

福岡高判平成2・7・18(天下一家の会)
民事実体法,民事手続法の判例との関係(→渋谷評釈の厳しい批判)
 課税処分が是認されなかった実質的理由は?破産していたから?
借用概念論とは。

法人成りについては,同族会社を論じる中で考えることにする。(法律時報2018年2月号,『所得課税の国際的側面』第2部も参照)

ケースブック§321

法人税法22条1-3項の意味内容。
貸付金・借入金の扱い…収益にも費用にも計上しない。なぜか?
所得税法との比較(所得税法を勉強してから?)

企業会計との関係
企業会計のルールと税務会計のルールが統一されていることのメリット
両者が統一されていることのデメリット

(以下次回)
1966年の「意見書」に反映される各界の本音とは?
どの規定が問題となるか?
「申告調整」とは何か?
(「スタンダード」に要領の良い説明がある)

最判平成5・11・25民集47巻9号5278頁

最近の裁判例について


2018LS租税法R&W第1回(4月10日)

金子宏『租税法』第1編租税法序説を読む(その1)

なぜこの部分を読むか。ケースブックや他の教科書には必ずしも十分に書かれていない,現代日本の租税法の基本的発想や,暗黙の前提を読み取ることができる。単に通説であると思って安心しないで,その斬新性や過激さを知ってほしい(税務弘報59巻3号111頁に掲載した書評も参照されたい)。

第1章 租税の意義
第1節 現代国家と租税
資金調達…憲法29条との関係でのコメントに注目
再分配…これを強調する「リベラルな」側面。戦後の政権政党も,この部分に手をつけていないことに注意。
景気調整…このような機能を認めない見解との緊張関係。

第2節 租税の意義と種類
定義については,大島訴訟最高裁判決も参照。
租税の種類については,収得税・財産税・消費税の意義をしっかり押さえておく。 なぜこられ全てが存在するのか。(→渡辺智之「タックス・ミックスについて」)

第3節 租税の根拠
利益説と義務説
地方税における議論

第2章 租税法の意義と特質
第1節 租税法の意義と範囲
租税法律関係(他の本にあまり書いていない。しっかり押さえておく。):権力関係説と債務関係説。ドイツの債務関係説によって租税法が成立したと言いつつ,アメリカの議論を参照した所得課税の基礎理論(所得概念)を踏まえた体系,という一種の接ぎ木構造。

第3章 歴史
最初の所得税法の成立(1877年)から所得税法・法人税法の仕組みの完成(1940年)という流れ。そして,その直後(戦後)に生じた改変。金子はシャウプ勧告の重要性を強調するが,増井は1940年法との連続性への注意喚起。
戦後は,消費税法の成立(1988年)が一つのターニング・ポイント。消費税法の導入の理由に関する大蔵省の説明と,政治学者(加藤淳子)の説明。

第4章 租税法の基本原則
第1節 租税法律主義
租税法律主義の「機能」を強調する金子説の独創性と,実務における重要性(第22版75頁)。ここ20年くらいの判例の流れに通底する。
*文献として,「租税法律主義と「遡及立法」」


2018LS租税法2第1回(4月9日)

租税法関係3科目の導入。

ケースブック租税法(第5版)§311
所得税と法人税の関係をどう捉えるか?
所得税だけ存在する場合に生じてしまう,課税の繰り延べ(による租税軽減)を補うために,法人税が存在するという説明(→シャウプ勧告)。
法人税が所得税の補完税(としてちょうどいい)ならば,両者の調整は不要(クラシカル・システム)。
これに対して,法人税と所得税が並存することによって,所得税のみが存在する場合よりも,個人の租税負担が過剰になる,と認識するならば,「統合」が必要になる。
法人段階での調整と個人段階での調整があるが,まずは,「インピュテーション方式」を理解しよう。
*文献として,ケースブックに引用のもの,渡辺先生の「スタンダード」のほか,法律時報2018年2月号の特集。

2018年2月16日金曜日

2017年度神戸大学法学部租税法定期試験について

本年度の学部租税法の授業は,(履修取り消し者を除いて)67名が登録し,40名が試験を受験しました。そのうち,秀8名,優10名,良14名,可7名,不可1名でした。問題が易しかったためか,昨年よりも成績は良好です。この他,大学院生が1名受講していました。

以下,採点基準を掲げておきます。


第1問(35点)

租税公平(平等)主義については,講義の【4】及び【5】で扱った。また,【2】で取り上げたサラリーマン税金訴訟,【11】で取り上げた能力を基準とした課税も租税公平(平等)主義に関するものである。授業内容を踏まえ,概ね次のような項目についての叙述を求めた。括弧内はおおよその配点。

(1)租税制度設計の基準の一つとして挙げられるということ。(5)

(2)憲法14条から導かれること。(5)

(3)水平的公平と垂直的公平に分けられると考えられること。また,それぞれの内容。(15)

(4)公平(平等)を判定する前提として,指標が選びとられるべきこと。(5)

(5)基本的な制度設計との関係での個々の法律の規定が問題となる場合,と,法律の規定との関係で法適用が妥当か問題となる場合,に分けられること。(10)

(6)授業で紹介した日本及び外国の判例の紹介。(それぞれ5)

(7)endowment taxationへの言及。(10)

(8)解答者の意見(適宜)



第2問(35点)

家族と租税については,講義の【10】で取り上げた。授業内容を踏まえ,概ね次のような項目についての回答を求める。括弧内はおおよその配点。

(1)家族と租税に関する問題群の全体像,または,租税法以外の法分野における家族についての規律との関係が問題となること。(5)

(2)所得税法・相続税法における家族をめぐる規律の内容。(10)

(3)納税義務の単位の問題。個人単位主義が採用されていること。(10)

(4)同上。離婚の際の財産分与(及び,死亡時の配偶者の相続分)の問題。(10)

(5)家族内での経済的価値の移転について。(5)

(6)解答者の意見(適宜)



第3問(30点)

授業で扱った判例について記述されていれば15点を与え,詳細かつ正確な記述であると判断される場合には,さらに15点を限度として加点した。



レポート

 しっかり自分の頭で考えたと言えるものについては,最終的な評定に20点を限度として加点した。