2018年5月29日火曜日

2018LS租税法1第10回(5月29日)

支払者の源泉徴収義務に関する問題
→アブノーマルな経済的価値の流出の場合にも,源泉徴収義務を負うとされる。

給与所得控除

§223.05
最判昭和58年9月9日
これも最高裁の示した一般論が重要。若干わかりにくい「これらの性質を有する給与」につき,調査官解説を読んで考えてみよう。

*以上のような広い意味での人的役務の対価に対する課税問題は,もちろん法人税法の役員報酬に関する規律と合わせて理解すべきであるが,さらにより広く,企業の役員に対する報酬のあり方という面からも考えておくべきである。
例えば,櫛笥隆亮による次のようなプレゼン資料が一つの参考になろう。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/cgs_kenkyukai/pdf/006_05_00.pdf

§224.01
弁護士顧問料事件(既出)

§224.02
そもそもなぜ,雑所得について損益通算が認められなくなったのか?
→昭和43年度税制改正。




2018LS租税法2第6回(5月28日)

§322.05(承前)
新株有利発行により経済的価値を受領した側の受贈益の計上が問題となった東京地判平成27年9月29日(ケースブック456ページ参照)とは異なり,経済的価値を喪失した側のキャピタル・ゲイン課税が問題となっている(所得税法でいう「みなし譲渡」に相当)。

解釈論として問題となる点については,ケースブック461ページ4参照。

ケースブック461ページ5について。
平成10年改正により改正(のちに平成13年改正で廃止)された旧法人税法51条(特定現物出資の圧縮記帳)の適用について,原審は次のように述べていた(強調は引用者)。
「なお、上記の結論によると、もともと原告が保有していた株式に関する多額の含み益については、何らの課税もされない結果が生ずることとなるが、これは、法51条がその定める特定出資についていわゆる圧縮記帳による課税の繰延べを認め、しかも平成10年改正前には外国法人の設立についても同条の適用が認められていたことに端を発するものである。すなわち、同条の圧縮記帳の方法により保有株式を簿価で現物出資して外国法人を設立した後、当該外国法人が現物出資された株式をやはり簿価によって他の外国法人に譲渡した場合、当該譲渡には我が国の課税権が及ばないことから、結局、本件と同様、圧縮記帳によって課税が繰り延べられた含み益については、我が国では課税がされないままで終わらざるを得ないのである。本件における税務上の事態は、アトランティック社がその保有するテレビ朝日等の株式を簿価でアスカファンド社に譲渡した場合にも生ずることであり、その場合には原告に益金が生じたとみる余地は全くないのであるし、また、そのよ
うな事態が生ずることは、圧縮記帳の方法により外国法人の設立を許した場合には容易に想定し得るにもかかわらず、法が何らの措置を講じていないことからすると、法自体がやむを得ないものとして放置していたといわざるを得ないのであるから、結局、本件のような事態の起こることは、当時の法人税法上やむを得なかったと考えられるのである。」

損金
§323.01
まず全体像をつかむことが重要であり「スタンダード」をしっかり見ておきたい。まず,資本等取引からは損金が生じないことを把握し,次に,3つのカテゴリーのそれぞれについて基本を押さえ,さらに「別段の定め」による修正ないし補充を抑えること。

§323.02
最判昭和43年11月13日はかなり古い事案。一応見ておく程度でよい。2つのロジックの混淆というか並立。ただし,負債と株式の区別の問題は理論的にも実務的にも極めて重要。

§323.03
最決平成6年9月16日
→どうも詭弁という印象が拭えないのだが・・・