2014年4月11日金曜日

2014LS租税法1第2回4月11日

ケースブック,192ページから205ページまで。
帰属所得については,教科書を読んでおくこと。
次回は,227ページまで読んできて下さい。
授業で使うかもしれない通達のリストをG-Portに掲載しました。

租税法講義2014第1回レジュメ


2014学習院大学法学部租税法【その1
☆進め方
→基本的には中里実ほか編『租税法概説』(有斐閣)とレジュメ(あるいは板書)に沿って講義。
○租税について学ぶということ
「租税法」,「財政学」,「公共経済学」,「財政史」,「財政法」,「財政社会学」等々
→法的(法学的)アプローチ対経済学的アプローチ??
→経済学のアプローチは一つではない。人々の経済活動が実際にどうなっているのか,という事実の描写。その解釈。制度をこのように変えるべき,という規範的主張。
→法的アプローチ,といっても,実は何か一貫した方法論があるわけではない。
この授業では,租税を理解するための方法を限定しない。ただし,「従来法学部に所属する研究者が行ってきたようなアプローチ」=裁判例の分析・批判,外国 法(制度・判例)の紹介,の比重が比較的高くなるはず。また,「マーリーズ・レビュー」で採用されている「最適課税論」の考え方については後述する。
○マーリーズ・レビューとは何か
1978年のミード報告書に続く,税制に関する包括的な研究・提言。
◎日本の税制
→『概説』第2
◎イギリスの税制
Tax by Design, Chapter 1
1970年代末からの税制の変化
1VATの比率の高まり,(2)課税単位が夫婦単位から個人単位へ,(3)個人所得税の最高税率の低下,(4)国民保険(National Insurance)の保険料の上昇と所得税制への接近,(5)税額控除制度の導入と活用,(6)法人税の税率の低下,(7)相続税制の改変,(8)居住用不動産に対する地方税のレイト(rates)がCouncil Taxとなった。
○日英の税収データの比較
→イギリスのデータは,国民保険の保険料や地方税を含んでいる。日本では,約60兆円の社会保険料収入と約110兆円の社会保障給付費が存在する。これらは,約80兆円の租税負担と比べても,かなりの額。日本でも,「国民負担率」というとき,租税負担率と社会保障負担率を合わせて考える(→財務省ホームページ)。
○経済的文脈の変化
1)不平等の拡大
→イギリスでは,賃金の格差の拡大がその原因。日本でも不平等は拡大しているが,それは人口の高齢化に基因する(大竹文雄)。
2)女性の就労の増加
→夫が既に働いており子供がいる女性が,働き始めるときに適用される税率の重要性!(あとで何度も出てくる話題)
3)金融サービスの役割の増大,技術の進歩
○税制改革と政治
→誰が負担しているかわかりにくい租税が通りやすい。