2007年11月20日火曜日

『租税法の基本問題』刊行!

金子宏編『租税法の基本問題』(有斐閣)が刊行されました。

以前に予告したとおり、
「所得課税における年度帰属の問題」
「法人税の納税義務者」
という二本の論文を寄稿しています。

「所得課税における年度帰属の問題」では、ラフに言えば、所得課税における重要な概念である「実現(realization)」が資産の帰属という問題と密接に絡み合っているということ、資産の帰属は私法上の「所有権」というよりは「自主占有」を基準としていること、を述べています。本稿で扱った問題については、同じ論文集の谷口教授(大阪大学)、中里教授(東京大学)の論文でも詳しく検討されています。

「法人税の納税義務者」では、法人税についてどのような見方をするかによって、法人税の納税義務者の範囲も異なってくるということ、では具体的にどのような見方があり、それらによればどうなるのか、ということを概説しています。私の見解を述べるというよりも、既存の議論を整理し、今後の議論の見通しを良くすることを意図しています。同じ論文集の増井教授(東京大学)の論文のテーマとも部分的に重なります。

非常に高価(12,000円)ですが、租税法の研究状況がわかる貴重な書物に仕上がっています。個人的には、書いたものが初めて(雑誌ではなく)単行本に収められたので、とても嬉しく思います。