2018年5月13日日曜日

2018LS租税法1第4・5回(5月9日)

補講として2コマ連続で開講。

利子所得・配当所得の補充

2017講義資料49-66ページに引用の裁判例を参照。
横浜地判平成2・3・19 税務訴訟資料175-1228
東京地判平成21・11・12 判タ1324-134

譲渡所得
(配布物)
「譲渡所得の全体像」
2017講義資料92-113ページ

*所得税法の条文の書きぶりからは,「移転」は財産権の帰属の変更全てを含むのに対して「譲渡」はなんらかの経済的価値の流入を伴うものを想定していたと考えられる。所得税法においては,「無償譲渡」などという表現はmisnomerに他ならない。しかし,「譲渡」を(所得税法にいう)「移転」の意味で用いている法人税法(22条2項を参照せよ)の議論と混線して,「無償譲渡」という表現が所得税法を論じる際に用いられるようになってしまった。最高裁判例でも,「移転」のつもりで「譲渡」という言葉を用いている例がある(昭和47年,50年の判決を参照)。最近の学説も,「移転」と「譲渡」を互換的に用いて論じているものが多い。この授業では,両者をしっかりと区別して説明する。その方が,譲渡所得課税を正しく理解できるはず。

 §221.01
最判昭和43年10月31日は「みなし譲渡」の事例
最判昭和47年12月26日では,直接には,譲渡所得の収入金額が問題となっている。

§221.02
最判昭和50年5月27日は,読み方が難しい。本件における財産分与に伴う不動産の移転が有償移転なのだとすると,無償移転に言及した一般論に意味はないということになりそう。
最判昭和45年10月23日は,ケースブック引用部分の後の叙述にも注意。本当に類推適用したわけではない!

§221.03
「生活に通常必要な動産」と「生活に通常必要でない資産」
ケースブック249ページの「有価証券の売買から生じる譲渡所得が非課税とされていた」ことに関しては,278ページのコラムのほか,557ページ以下の最判平成16年7月20日も参照。