2018年6月5日火曜日

2018LS租税法1第11回(6月5日)

§224.02(補足)先物取引については,現在では,基本的には租税特別措置法41条の14及び41条の15(下記参照)が適用されるが,この規定自体,結構頻繁にその内容が変わっている。基本的には,利益につき申告分離課税,損失の金額につき一定の条件のもとで先物取引からの利益との相殺を認めている。
この規定の適用が争われた事例につき
http://www.kfs.go.jp/service/MP/12/0105000000.html
を参照。
(租税特別措置法41条の14第1項柱書(読みやすく改変したもの))
居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、次の各号に掲げる「先物取引」をし、かつ、当該各号に掲げる取引又は取得「先物取引」の区分に応じ当該各号に定める「差金等決済」をした場合には、当該差金等決済に係る当該先物取引による事業所得、譲渡所得及び雑所得については、所得税法第22条及び第89条並びに第165条の規定にかかわらず、他の所得と区分し、その年中の「先物取引に係る雑所得等の金額」に対し、その百分の十五に相当する金額に相当する所得税を課する。この場合において、「先物取引に係る雑所得等の金額」の計算上生じた損失の金額があるときは、同法その他所得税に関する法令の規定の適用については、当該損失の金額は生じなかつたものとみなす。
(租税特別措置法41条の15第1項(読みやすく改変したもの))
確定申告書を提出する居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、その年の前年以前3年内の各年において生じた「先物取引の差金等決済に係る損失の金額」(→定義は第2項)を有する場合には、前条第1項後段の規定にかかわらず、当該「先物取引の差金等決済に係る損失の金額」に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の同項に規定する先物取引に係る雑所得等の金額を限度として、当該年分の当該先物取引に係る雑所得等の金額の計算上控除する。

事業所得と雑所得の区別に関する最近の裁判例として,FX取引に関する,東京地判平成23年2月18日及びその控訴審である東京高判平成23年7月27日,横浜地判平成25年7月3日及びその控訴審である東京高判平成25年11月14日参照。
また,マイナス項目について同じ点が争われた事例として,東京地判平成25年1月29日及びその控訴審東京高判平成25年6月20日がある。

*青色申告制度(ケースブック316ページ以下)

§224.03
事業所得の範囲
名古屋高金沢支判昭和49年9月6日
借入金利子をどの所得にチャージするかという問題。

§225.01
一時所得と雑所得の区別
最判平成27年3月10日刑集69巻2号434頁
最判平成29年12月15日裁判所ウェブサイト こちらは課税処分取消訴訟

最判平成24年1月13日(ケーブック327頁)の検討 
→そもそも一時所得という扱いが甘すぎる。給与所得となると考えるべきでは?なお,渕@『租税法と市場』論文も参照。
「ハーフタックス」といったキーワードで検索すると色々情報が出てくる。

§225.02
最判平成27年6月12日
(頭出しのみ)