2018年5月22日火曜日

2018LS租税法2第5回(5月21日)

§322.03
大阪高判昭和53年3月30日

考え方としては,二段階で理解すると良い。
第1に,資産の移転ないし役務の提供を通じて,手放した会社には,どのような課税関係が生じるか。その際,時価での譲渡ないし時価での役務提供があったとみなして(所得税でいう「みなし譲渡」と同じ),課税関係を考える。
第2に,会社に実際に残っている経済的価値(無償譲渡・無償提供の場合は,ゼロ。低額譲渡・低額提供の場合は,受領した対価)と時価との差額をどのように性質決定するか考える。役員報酬?それとも,寄附金?どのように性質決定するかにより,どの範囲で損金算入できるかが違ってくる。
*スタン67-71頁

ケースブック452頁の「対価的意義を有する利益」と513-516頁の寄附金とならない場合についての説明。(→スタン80-82頁。昨年度の租税法2試験問題及びその解説も参照。寄附金のところでまとめて解説する。)

*スタン74-75頁の「一段階説」
要するに,実際の対価がなんであろうと,資産の譲渡が行われた場合に,時価で譲渡が行われたとみなしてキャピタル・ゲイン(ロス)を実現させて課税を行う。

§322.04
これは,そんなに難しくない。所得税でいう一時所得と同じように考える。
個人の側の譲渡益課税,相続税の課税,受贈者たる法人の法人税の課税,の3つについて混乱しないように!
*所得税に関する事案だが,455頁の最判平成4年11月16日判例時報1441号66頁も見ておく(これも,味村治裁判官の反対意見あり)。→昨年度の租税法1の講義資料

*余裕があれば,456頁に引用されている,東京地判平成27年9月29日判例タイムズ1429号181頁を考えてみたい。

§322.05
最判平成18年1月24日(オウブンシャホールディング)
 まずは,なぜこのような取引が行われたのか,考えてみたい。私自身の書いたものとして,百選第5版58事件解説参照。



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