(前回の補足)
「繰延資産」(法2条24号→令14条)
6号は,税法上特に繰延資産とされたもの(成松「セミナー」190頁)
473頁6(控除の全否定かタイミングの差異か)。さらに,「資本的支出」と「修繕費」の区別(法人税基本通達7-8-3以下にあるように,実際には機械的に分けている)。
§324.04
最判平成16年12月24日
→まずは,損失,特に貸倒損失に関する基本的な枠組みをしっかり押さえておく(「概説」,百選解説(吉村政穂)など参照)。
興銀事件については,(常識的にはありえなそうな)「債権者側の事情」が考慮されるということが,ポイント。
「資産の評価損」(法33条→令68条)
(平成21年度改正の「企業再生関係税制」参照)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2009/explanation/pdf/P196-P222.pdf
§324.05
損失と損害賠償請求権の関係
東京高判平成21年2月18日
505頁4(取得費となる場合)
§325.01
役員給与(スタン127頁以下)
平成18年度改正
平成29年度改正
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/explanation/pdf/p0292-0378.pdf
ここの299ー315頁
https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/201703d.pdf
これの16頁
東京地判平成24年10月9日
*もうすぐ出る長戸貴之論文(民商法雑誌)をチェック!
2018年6月4日月曜日
2018年5月30日水曜日
2018LS租税法2第7回(5月30日)
補講として開講。
473ページの「6.控除の全否定かタイミングの差異か」は重要。
*そもそも業務の遂行上必要か,という論点もある。
名古屋地判平成24年11月8日(控訴審:名古屋高判平成25年4月26日)は,納税者が「転売した不動産の購入代金が3億9615万4680円であることを前提に,これを売上原価として損金の額に算入して法人税の確定申告をしたところ,処分行政庁から,上記不動産の購入代金は3億6015万4680円であり,差額の3600万円は架空計上されたものであるとして損金算入を否認され」た事案。裁判所は,「内国法人の所得金額の計算上、損金の額に算入することができる支出は,当該法人の業務の遂行上必要と認められるものでなければならないというべきである。そこで,以下においては,XがJに交付した現金3600万円のうち原告出捐に係る1800万円に原告の業務との関連性が認められるかどうかについて検討する」と述べている。
横浜地判平成17年1月19日は次のようにいう(強調は引用者)。
「ところで、法人税法22条3項は、内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額について、別段の定めがあるものを除き、原価、費用及び損失の額であるとしているところ、法人税法上、海外渡航費が損金に該当するかどうかについて、特段の規定は存在しない。したがって、海外渡航費が費用(同法22条3項2号)に該当するものとして損金の額に算入されるべきかどうかは、当該海外渡航の性質に照らし、それが当該法人の業務の遂行上必要な費用と認められるものであるかどうかによって判断すべきである。そして、当該海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかについては、渡航者と当該法人との関係、渡航の目的、渡航先、渡航先での当該渡航者の活動及び渡航期間等の諸般の事情を総合的に考慮して判断することが相当である。
基本通達において、「法人がその役員又は使用人の海外渡航に際して支給する旅費は、その海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経費を認める。」(同通達9-7-6)とした上で、「法人の役員又は使用人の海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定する。」(同通達9-7-7)とし、さらに、「法人の役員が法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航に際し、その親族又はその業務に常時従事していない者を同伴した場合において、その同伴者に係る旅費を法人が負担したときは、その旅費はその役員に対する給与とする。ただし、その同伴が例えば次に掲げる場合のように、明らかにその海外渡航の目的を達成するために必要な同伴と認められるときは、・・・その限りではない。」とし、その例示として「国際会議への出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合」等を挙げている(同通達9-7-8)のも、上記の判断基準と同様の趣旨に基づくものと解される。」
このような一般論を踏まえて,判決は,法人の役員の小学生の子供2人の海外渡航費について,次のように判断した(現在と役員報酬に関する規律が異なることに注意)。
「そうすると、本件各渡航費は、海外渡航費として原告の損金の額に算入されるべき性質のものではなく、上記のところからすれば、丙の扶養者である甲が個人的に負担すべき費用というべきであり、これを原告が支出したことは、原告の甲に対する臨時的な給与、すなわち賞与として支給したものと認められるから、法人税法35条1項の規定により、原告の損金の額には算入されないものである。
したがって、本件各渡航費は、原告の本件各事業年度の損金の額には算入されず、また、原告は、甲に対する本件各渡航費の支給について、所得税を徴収し、国に納付すべき義務があるというべきである(所得税法183条1項)。」
損金の第1のカテゴリー
§324.01
最判平成16年10月29日
具体例の補充として以下の事例(東京地判平成27年9月25日)を見てみよう。
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2015/pdf/12725.pdf
「また,同[22]条4項は,同[法人税]法における所得の金額の計算に係る規定及び制度を簡素なものとすることを旨として設けられた規定であると解されるところ,「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」との規定の文言にも照らすと,現に法人のした収益等の額の計算が,法人税の適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的(同法1条参照)とする同法の公平な所得計算という要請に反するものでない限りにおいては,法人税の課税標準である所得の金額の計算上もこれを是認するのが相当であるとの見地から定められたものと解され(最高裁平成4年(行ツ)第45号同5年11月25日第一小法廷判決・民集47巻9号5278頁参照),法人が収益等の額の計算に当たって採った会計処理の基準がそこにいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(公正処理基準)に該当するといえるか否かについては,上記に述べたところを目的とする同法の独自の観点から判断されるものと解するのが相当である。
そして,このような見地から法人税法の課税所得における損金の計算についてみると,一般に,同法22条3項1号に規定する,特定の収益との対応関係を明らかにできる売上原価等については,その収益が計上された事業年度に,同項2号に規定する販売費,一般管理費等については,発生した事業年度に,同項3号の損失については,損失の発生した事業年度に,それぞれ損金の額として算入されるべきものと解するのが相当である。」
過去の年度に計上すべきであった売上原価を損金算入することを否定。そして,納税者の主張する前期損益修正の扱いにつき,次のように述べて,法人税法独自の観点から否認。
「前記(1)で述べたような法人税法22条4項の趣旨に照らすと,企業会計の慣行として広く行われている処理であっても,適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的とする同法の所得計算という要請に反する場合には,公正処理基準に該当するということはできず,公正妥当であるとはいえないものとして,法人税法上採用することができないものというべきである。」
損金の第2のカテゴリー
§324.02
§324.03
最判平成20年9月16日
*東京地判平成28年7月19日(横溝大先生(名古屋大学)の評釈あり)
473ページの「6.控除の全否定かタイミングの差異か」は重要。
*そもそも業務の遂行上必要か,という論点もある。
名古屋地判平成24年11月8日(控訴審:名古屋高判平成25年4月26日)は,納税者が「転売した不動産の購入代金が3億9615万4680円であることを前提に,これを売上原価として損金の額に算入して法人税の確定申告をしたところ,処分行政庁から,上記不動産の購入代金は3億6015万4680円であり,差額の3600万円は架空計上されたものであるとして損金算入を否認され」た事案。裁判所は,「内国法人の所得金額の計算上、損金の額に算入することができる支出は,当該法人の業務の遂行上必要と認められるものでなければならないというべきである。そこで,以下においては,XがJに交付した現金3600万円のうち原告出捐に係る1800万円に原告の業務との関連性が認められるかどうかについて検討する」と述べている。
横浜地判平成17年1月19日は次のようにいう(強調は引用者)。
「ところで、法人税法22条3項は、内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額について、別段の定めがあるものを除き、原価、費用及び損失の額であるとしているところ、法人税法上、海外渡航費が損金に該当するかどうかについて、特段の規定は存在しない。したがって、海外渡航費が費用(同法22条3項2号)に該当するものとして損金の額に算入されるべきかどうかは、当該海外渡航の性質に照らし、それが当該法人の業務の遂行上必要な費用と認められるものであるかどうかによって判断すべきである。そして、当該海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかについては、渡航者と当該法人との関係、渡航の目的、渡航先、渡航先での当該渡航者の活動及び渡航期間等の諸般の事情を総合的に考慮して判断することが相当である。
基本通達において、「法人がその役員又は使用人の海外渡航に際して支給する旅費は、その海外渡航が当該法人の業務の遂行上必要なものであり、かつ、当該渡航のため通常必要と認められる部分の金額に限り、旅費としての法人の経費を認める。」(同通達9-7-6)とした上で、「法人の役員又は使用人の海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであるかどうかは、その旅行の目的、旅行先、旅行経路、旅行期間等を総合勘案して実質的に判定する。」(同通達9-7-7)とし、さらに、「法人の役員が法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航に際し、その親族又はその業務に常時従事していない者を同伴した場合において、その同伴者に係る旅費を法人が負担したときは、その旅費はその役員に対する給与とする。ただし、その同伴が例えば次に掲げる場合のように、明らかにその海外渡航の目的を達成するために必要な同伴と認められるときは、・・・その限りではない。」とし、その例示として「国際会議への出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合」等を挙げている(同通達9-7-8)のも、上記の判断基準と同様の趣旨に基づくものと解される。」
このような一般論を踏まえて,判決は,法人の役員の小学生の子供2人の海外渡航費について,次のように判断した(現在と役員報酬に関する規律が異なることに注意)。
「そうすると、本件各渡航費は、海外渡航費として原告の損金の額に算入されるべき性質のものではなく、上記のところからすれば、丙の扶養者である甲が個人的に負担すべき費用というべきであり、これを原告が支出したことは、原告の甲に対する臨時的な給与、すなわち賞与として支給したものと認められるから、法人税法35条1項の規定により、原告の損金の額には算入されないものである。
したがって、本件各渡航費は、原告の本件各事業年度の損金の額には算入されず、また、原告は、甲に対する本件各渡航費の支給について、所得税を徴収し、国に納付すべき義務があるというべきである(所得税法183条1項)。」
損金の第1のカテゴリー
§324.01
最判平成16年10月29日
具体例の補充として以下の事例(東京地判平成27年9月25日)を見てみよう。
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2015/pdf/12725.pdf
「また,同[22]条4項は,同[法人税]法における所得の金額の計算に係る規定及び制度を簡素なものとすることを旨として設けられた規定であると解されるところ,「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」との規定の文言にも照らすと,現に法人のした収益等の額の計算が,法人税の適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的(同法1条参照)とする同法の公平な所得計算という要請に反するものでない限りにおいては,法人税の課税標準である所得の金額の計算上もこれを是認するのが相当であるとの見地から定められたものと解され(最高裁平成4年(行ツ)第45号同5年11月25日第一小法廷判決・民集47巻9号5278頁参照),法人が収益等の額の計算に当たって採った会計処理の基準がそこにいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(公正処理基準)に該当するといえるか否かについては,上記に述べたところを目的とする同法の独自の観点から判断されるものと解するのが相当である。
そして,このような見地から法人税法の課税所得における損金の計算についてみると,一般に,同法22条3項1号に規定する,特定の収益との対応関係を明らかにできる売上原価等については,その収益が計上された事業年度に,同項2号に規定する販売費,一般管理費等については,発生した事業年度に,同項3号の損失については,損失の発生した事業年度に,それぞれ損金の額として算入されるべきものと解するのが相当である。」
過去の年度に計上すべきであった売上原価を損金算入することを否定。そして,納税者の主張する前期損益修正の扱いにつき,次のように述べて,法人税法独自の観点から否認。
「前記(1)で述べたような法人税法22条4項の趣旨に照らすと,企業会計の慣行として広く行われている処理であっても,適正な課税及び納税義務の履行の確保を目的とする同法の所得計算という要請に反する場合には,公正処理基準に該当するということはできず,公正妥当であるとはいえないものとして,法人税法上採用することができないものというべきである。」
損金の第2のカテゴリー
§324.02
§324.03
最判平成20年9月16日
*東京地判平成28年7月19日(横溝大先生(名古屋大学)の評釈あり)
2018LS租税法R&W第6回(5月29日)
§163.01
これは民法で動機の錯誤の説明で出てくる判例。
§163.02
静岡地判平成8年7月18日。時効援用時に一時所得となるとの判断。
東京地判平成4年3月10日訟務月報39巻1号139頁も見ておきたい。長期譲渡所得が生じるかどうかが争われた事案。課税庁が,時効取得時の時価が取得価額であるという(ある意味,甘い)処分をしたのだが,納税者はこの課税処分を争った。
さらに,ケースブック128頁で引用されている,大阪高判平成14年7月25日。
§164.01
「租税回避」という概念はあまり使いたくないが,一応説明。
§164.02
東京高判平成11年6月21日
東京地判平成13年3月28日→東京高判平成14年3月20日(岸事件)も見ておく。
これは民法で動機の錯誤の説明で出てくる判例。
§163.02
静岡地判平成8年7月18日。時効援用時に一時所得となるとの判断。
東京地判平成4年3月10日訟務月報39巻1号139頁も見ておきたい。長期譲渡所得が生じるかどうかが争われた事案。課税庁が,時効取得時の時価が取得価額であるという(ある意味,甘い)処分をしたのだが,納税者はこの課税処分を争った。
さらに,ケースブック128頁で引用されている,大阪高判平成14年7月25日。
§164.01
「租税回避」という概念はあまり使いたくないが,一応説明。
§164.02
東京高判平成11年6月21日
東京地判平成13年3月28日→東京高判平成14年3月20日(岸事件)も見ておく。
2018年5月29日火曜日
2018LS租税法1第10回(5月29日)
支払者の源泉徴収義務に関する問題
→アブノーマルな経済的価値の流出の場合にも,源泉徴収義務を負うとされる。
給与所得控除
§223.05
最判昭和58年9月9日
これも最高裁の示した一般論が重要。若干わかりにくい「これらの性質を有する給与」につき,調査官解説を読んで考えてみよう。
*以上のような広い意味での人的役務の対価に対する課税問題は,もちろん法人税法の役員報酬に関する規律と合わせて理解すべきであるが,さらにより広く,企業の役員に対する報酬のあり方という面からも考えておくべきである。
例えば,櫛笥隆亮による次のようなプレゼン資料が一つの参考になろう。
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/cgs_kenkyukai/pdf/006_05_00.pdf
§224.01
弁護士顧問料事件(既出)
§224.02
そもそもなぜ,雑所得について損益通算が認められなくなったのか?
→昭和43年度税制改正。
2018LS租税法2第6回(5月28日)
§322.05(承前)
新株有利発行により経済的価値を受領した側の受贈益の計上が問題となった東京地判平成27年9月29日(ケースブック456ページ参照)とは異なり,経済的価値を喪失した側のキャピタル・ゲイン課税が問題となっている(所得税法でいう「みなし譲渡」に相当)。
解釈論として問題となる点については,ケースブック461ページ4参照。
ケースブック461ページ5について。
平成10年改正により改正(のちに平成13年改正で廃止)された旧法人税法51条(特定現物出資の圧縮記帳)の適用について,原審は次のように述べていた(強調は引用者)。
「なお、上記の結論によると、もともと原告が保有していた株式に関する多額の含み益については、何らの課税もされない結果が生ずることとなるが、これは、法51条がその定める特定出資についていわゆる圧縮記帳による課税の繰延べを認め、しかも平成10年改正前には外国法人の設立についても同条の適用が認められていたことに端を発するものである。すなわち、同条の圧縮記帳の方法により保有株式を簿価で現物出資して外国法人を設立した後、当該外国法人が現物出資された株式をやはり簿価によって他の外国法人に譲渡した場合、当該譲渡には我が国の課税権が及ばないことから、結局、本件と同様、圧縮記帳によって課税が繰り延べられた含み益については、我が国では課税がされないままで終わらざるを得ないのである。本件における税務上の事態は、アトランティック社がその保有するテレビ朝日等の株式を簿価でアスカファンド社に譲渡した場合にも生ずることであり、その場合には原告に益金が生じたとみる余地は全くないのであるし、また、そのよ
うな事態が生ずることは、圧縮記帳の方法により外国法人の設立を許した場合には容易に想定し得るにもかかわらず、法が何らの措置を講じていないことからすると、法自体がやむを得ないものとして放置していたといわざるを得ないのであるから、結局、本件のような事態の起こることは、当時の法人税法上やむを得なかったと考えられるのである。」
損金
§323.01
まず全体像をつかむことが重要であり「スタンダード」をしっかり見ておきたい。まず,資本等取引からは損金が生じないことを把握し,次に,3つのカテゴリーのそれぞれについて基本を押さえ,さらに「別段の定め」による修正ないし補充を抑えること。
§323.02
最判昭和43年11月13日はかなり古い事案。一応見ておく程度でよい。2つのロジックの混淆というか並立。ただし,負債と株式の区別の問題は理論的にも実務的にも極めて重要。
§323.03
最決平成6年9月16日
→どうも詭弁という印象が拭えないのだが・・・
新株有利発行により経済的価値を受領した側の受贈益の計上が問題となった東京地判平成27年9月29日(ケースブック456ページ参照)とは異なり,経済的価値を喪失した側のキャピタル・ゲイン課税が問題となっている(所得税法でいう「みなし譲渡」に相当)。
解釈論として問題となる点については,ケースブック461ページ4参照。
ケースブック461ページ5について。
平成10年改正により改正(のちに平成13年改正で廃止)された旧法人税法51条(特定現物出資の圧縮記帳)の適用について,原審は次のように述べていた(強調は引用者)。
「なお、上記の結論によると、もともと原告が保有していた株式に関する多額の含み益については、何らの課税もされない結果が生ずることとなるが、これは、法51条がその定める特定出資についていわゆる圧縮記帳による課税の繰延べを認め、しかも平成10年改正前には外国法人の設立についても同条の適用が認められていたことに端を発するものである。すなわち、同条の圧縮記帳の方法により保有株式を簿価で現物出資して外国法人を設立した後、当該外国法人が現物出資された株式をやはり簿価によって他の外国法人に譲渡した場合、当該譲渡には我が国の課税権が及ばないことから、結局、本件と同様、圧縮記帳によって課税が繰り延べられた含み益については、我が国では課税がされないままで終わらざるを得ないのである。本件における税務上の事態は、アトランティック社がその保有するテレビ朝日等の株式を簿価でアスカファンド社に譲渡した場合にも生ずることであり、その場合には原告に益金が生じたとみる余地は全くないのであるし、また、そのよ
うな事態が生ずることは、圧縮記帳の方法により外国法人の設立を許した場合には容易に想定し得るにもかかわらず、法が何らの措置を講じていないことからすると、法自体がやむを得ないものとして放置していたといわざるを得ないのであるから、結局、本件のような事態の起こることは、当時の法人税法上やむを得なかったと考えられるのである。」
損金
§323.01
まず全体像をつかむことが重要であり「スタンダード」をしっかり見ておきたい。まず,資本等取引からは損金が生じないことを把握し,次に,3つのカテゴリーのそれぞれについて基本を押さえ,さらに「別段の定め」による修正ないし補充を抑えること。
§323.02
最判昭和43年11月13日はかなり古い事案。一応見ておく程度でよい。2つのロジックの混淆というか並立。ただし,負債と株式の区別の問題は理論的にも実務的にも極めて重要。
§323.03
最決平成6年9月16日
→どうも詭弁という印象が拭えないのだが・・・
2018年5月27日日曜日
2018租税法1第8・9回(5月23日)
補講として開講。
§223.01
最判昭和56年4月24日民集35巻3号672頁(弁護士顧問料事件)
最高裁が示した一般論をしっかり把握しておくこと。
東京高判昭和47年9月14日(日本フィルハーモニー)
最判平成13年7月13日(りんご生産組合。百選第4版に私の解説あり)
民法上の組合は,いわゆるパス・スルー課税に服するが,現実には,源泉徴収義務を負う(この事件の第一審参照)など,事実上の権利義務の主体として活動を行なっている。そのような民法上の組合とその一構成員である組合員との間に,給与所得を基礎付けるような法律関係が成立しうるかどうか,ということが問題となった。最高裁は,これを肯定した。税務署長の処分やこれを認めた高裁判決は,組合と組合員との間の金銭の「分配」と,組合レベルで計算して生じた観念的な利益の組合員への「配賦」とを混同しているきらいがある。
福岡地判昭和62年7月21日(九電検針員)
労働法上の労働者性を主張することが主眼だったのかも。
給与所得と事業所得の区分の,消費税との関係。
厳密にいうと,給与所得の中でも通達によって課税が軽減されているサブカテゴリーがある。所得税基本通達28ー1は次のように定める。
§223.01
最判昭和56年4月24日民集35巻3号672頁(弁護士顧問料事件)
最高裁が示した一般論をしっかり把握しておくこと。
東京高判昭和47年9月14日(日本フィルハーモニー)
最判平成13年7月13日(りんご生産組合。百選第4版に私の解説あり)
民法上の組合は,いわゆるパス・スルー課税に服するが,現実には,源泉徴収義務を負う(この事件の第一審参照)など,事実上の権利義務の主体として活動を行なっている。そのような民法上の組合とその一構成員である組合員との間に,給与所得を基礎付けるような法律関係が成立しうるかどうか,ということが問題となった。最高裁は,これを肯定した。税務署長の処分やこれを認めた高裁判決は,組合と組合員との間の金銭の「分配」と,組合レベルで計算して生じた観念的な利益の組合員への「配賦」とを混同しているきらいがある。
福岡地判昭和62年7月21日(九電検針員)
労働法上の労働者性を主張することが主眼だったのかも。
給与所得と事業所得の区分の,消費税との関係。
厳密にいうと,給与所得の中でも通達によって課税が軽減されているサブカテゴリーがある。所得税基本通達28ー1は次のように定める。
「28-1 宿直料又は日直料は給与等(法第28条第1項に規定する給与等をいう。以下同じ。)に該当する。ただし、次のいずれかに該当する宿直料又は日直料を除き、その支給の基因となった勤務1回につき支給される金額(宿直又は日直の勤務をすることにより支給される食事の価額を除く。)のうち4,000円(宿直又は日直の勤務をすることにより支給される食事がある場合には、4,000円からその食事の価額を控除した残額)までの部分については、課税しないものとする。
(1) 休日又は夜間の留守番だけを行うために雇用された者及びその場所に居住し、休日又は夜間の留守番をも含めた勤務を行うものとして雇用された者に当該留守番に相当する勤務について支給される宿直料又は日直料
(2) 宿直又は日直の勤務をその者の通常の勤務時間内の勤務として行った者及びこれらの勤務をしたことにより代日休暇が与えられる者に支給される宿直料又は日直料
(3) 宿直又は日直の勤務をする者の通常の給与等の額に比例した金額又は当該給与等の額に比例した金額に近似するように当該給与等の額の階級区分等に応じて定められた金額(以下この項においてこれらの金額を「給与比例額」という。)により支給される宿直料又は日直料(当該宿直料又は日直料が給与比例額とそれ以外の金額との合計額により支給されるものである場合には、給与比例額の部分に限る。)
§223.02
京都地判昭和56年3月6日
神戸地判平成元年5月22日
実務的には,源泉徴収義務者が183条に基づく源泉徴収をするのか,204条に基づく源泉徴収をするのか,あるいは,源泉徴収義務を負わないのか,ということが問題。
次に掲げる所得税基本通達が示すように,弁護士顧問料事件最判の基準からすると給与所得になり得ないようなものであっても,実務上給与所得として扱われていることがある。
「 28-7 国又は地方公共団体の各種委員会(審議会、調査会、協議会等の名称のものを含む。)の委員に対する謝金、手当等の報酬は、原則として、給与等とする。ただし、当該委員会を設置した機関から他に支払われる給与等がなく、かつ、その委員会の委員として旅費その他の費用の弁償を受けない者に対して支給される当該謝金、手当等の報酬で、その年中の支給額が1万円以下であるものについては、課税しなくて差し支えない。この場合において、その支給額が1万円以下であるかどうかは、その所属する各種委員会ごとに判定するものとする。」
§223.03
最判昭和37年8月10日
→当時,通達により,一人当たり月額500円までは非課税とされていた。その後,法9条1項5号,令20条の2が定められた。
フリンジ・ベネフィット,「使用者の便宜」理論
最判平成17年1月25日民集59巻1号64頁(ストック・オプション)
所得税法228条の3の2も見ておく。
299頁の記述に関連して,平成28年度改正における「譲渡制限付株式」の解禁(所得税法施行令84条)が重要(実務サイドからの解説として,TandAマスター647号4頁(櫛笥)参照)。令84条の規定は,基本的に299頁の裁判例の立場と同じ。
2018年5月23日水曜日
2018LS租税法R&W第5回(5月22日)
§132.01
大阪高判昭和44年9月30日(スコッチライト事件)
スコッチライト(Scotchlite)とは・・・
https://www.3mcompany.jp/3M/ja_JP/scotchlite-reflective-material-jp/
関税評価の仕組み。
*87ページ,「外間実」は「外間寛」の誤記。
87ページの「関連裁判例」だが,重要なのは,固定資産税に関する一連の最高裁判例(90ページ参照。資料を配布する)。
§140.01
告示の法源性については争いがある。
§140.02
最判昭和33年3月28日(パチンコ球遊器事件)
§150.01
東京高判昭和59年3月14日(大陸棚)
実務的には結構重要な問題。イギリスでもこの件に関する議論がある。
§161.01
最判平成22年3月2日民集64巻2号420頁(ホステス報酬)(百選第6版に私の解説あり)
§162.01
武富士(私の評釈あり。しかし,最近の悩みにつき近刊の『概説(第3版)』参照。)
§162.02
匿名組合契約
大阪高判昭和44年9月30日(スコッチライト事件)
スコッチライト(Scotchlite)とは・・・
https://www.3mcompany.jp/3M/ja_JP/scotchlite-reflective-material-jp/
関税評価の仕組み。
*87ページ,「外間実」は「外間寛」の誤記。
87ページの「関連裁判例」だが,重要なのは,固定資産税に関する一連の最高裁判例(90ページ参照。資料を配布する)。
§140.01
告示の法源性については争いがある。
§140.02
最判昭和33年3月28日(パチンコ球遊器事件)
§150.01
東京高判昭和59年3月14日(大陸棚)
実務的には結構重要な問題。イギリスでもこの件に関する議論がある。
§161.01
最判平成22年3月2日民集64巻2号420頁(ホステス報酬)(百選第6版に私の解説あり)
§162.01
武富士(私の評釈あり。しかし,最近の悩みにつき近刊の『概説(第3版)』参照。)
§162.02
匿名組合契約
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